前回に引き続き、今回も内外マスコミで報じられた「米中貿易戦争」の実態について検証したい。 既に述べた通り、米中間の経済上の確執は最近突然始まったわけではない。それにもかかわらず、今回の中国製タイヤに対する米国のセーフガード発動をきっかけに、米中双方が態度を硬化させたように見えるのは一体なぜなのか。 まずは、米国側の国内事情から見ていこう。 米国の保護主義 一時鳴りを潜めていた米国の保護主義が昨年あたりから本格的に復活し始めたようだ。直接の引き金は昨年秋の金融危機に端を発した景気後退であろうが、既に触れたように、バラク・オバマ民主党政権の成立とも決して無関係ではない。 米国の保護主義といえば、悪名高い「バイ・アメリカン」条項が典型例だが、実はこれ以外にも米国には自由貿易を制限する措置が少なくない。最近問題となっている例をいくつか挙げてみよう。