ワクチン接種が順調に進む米国において、物価上昇と労働市場の逼迫が顕著となっている。コロナ終息を前にした一時的な現象というのが標準的な解釈だが、必ずしもそうとは言えない部分がある。 特に労働市場については、コロナをきっかけに労働者の価値観が変わり、条件の悪い仕事を望まなくなっている可能性がある。現段階では断定はできないものの、場合によっては社会の仕組みが大きく変わる前兆かもしれない。 異様なまでの雇用ミスマッチが発生 米労働省が発表した4月の雇用動態調査によると、求人件数が928万6000件と、統計がスタートした2000年12月以来、最高水準となった。米国ではワクチン接種が順調に進んでいることから、経済活動がほぼ通常通りに戻りつつあり、企業は急ピッチで労働者の再雇用を進めている。 米国は良くも悪くも労働市場の柔軟性が高く、コロナ危機によるショックがピークとなった2020年5月には失業率が14