文化人類学者・辻信一氏の新刊『ナマケモノ教授のムダのてつがく』刊行記念イベントが開催されました。コロナ禍でよく聞いた「不要不急」という言葉や、「コスパ」「タイパ」などの現代的な価値観では、「ムダ=良くないもの」として捉えられています。しかし、その捨ててしまったものは本当に「ムダ」なのか? 南米に棲むナマケモノの生態に魅せられ、スロー思想を深めてきた同氏が、「ムダ」について問い直します。 落語から「ムダ」を省くと、なにも残らない 辻信一氏:こんにちは。今日は「ムダ」にふさわしい泥染めの服を着てきました。今日は1月11日ですけども、実は1月15日に僕も出る落語の会があるんですね。僕の仲間たちと一緒にやってる「ぼちぼち亭」という落語会があって、日本橋のお蕎麦屋さんで高座に座らせていただきます。 今日のこの会は、もちろん新しい本を広めたいという企みがあるんですけれども、実はその裏側にもう1つの企み