文化人類学者・辻信一氏の新刊『ナマケモノ教授のムダのてつがく』刊行記念イベントが開催されました。コロナ禍でよく聞いた「不要不急」という言葉や、「コスパ」「タイパ」などの現代的な価値観では、「ムダ=良くないもの」として捉えられています。しかし、その捨ててしまったものは本当に「ムダ」なのか? 南米に棲むナマケモノの生態に魅せられ、スロー思想を深めてきた同氏が、「ムダ」について問い直します。 答えはすぐ足もとの土にある 辻信一氏:さて、話は少し飛びます。第8章には、さっき言いましたリジェネラティブ(再生)とか、ローカリゼーション(地域化)という僕の活動のテーマが出てきます。これらはナマケモノ倶楽部のテーマでもあります。 『ナマケモノ教授のムダのてつがく』 8章のタイトルは「答えはすぐ足もとの土にある」ですが、これは大きな意識の転換を示す表現なんです。僕たちは土を役に立たない、ムダなものとして、文