デザインは自己表現ではない、という指摘があります。 デザイナーは依頼された仕事を自分の作品のように扱う、という批難もあります。 私は一部に賛同しつつも、自己表現や作品という言葉が抽象的であるがゆえに誤解を生みやすく、危険をはらんだものだとも考えています。 ( ※ 本記事で表記する「デザイナー」はビジュアルデザインなどの造形分野のデザイナーだけでなく、UXデザインやサービスデザインなど広い分野のデザイナーも含めたものとしています。) デザインは自己表現ではないと過剰に意識づけられて、個の発露が萎縮した風景が広がる。自分の意思を表明する場面において、もしくは、大胆に仮説を提示する場面において、ファクトベースの演繹的な思考に強く固執してしまい、創造性に欠けた予定調和に着地してしまう。考えを飛躍させることに臆病になってしまう。 デザインは自己表現ではない、という言説を正しく言い換えるならば、独善的