どんな人にも、暮らしはある。すぐには役に立たないようなことも、いつかの誰かの暮らしを変えるかもしれない。/雑誌『暮しの手帖』編集長・北川史織さん 「丁寧な暮らしではなくても」 2年前の冬、本屋さんでふと目にしたこの言葉が書かれていたのは、意外にも70年以上続く雑誌『暮しの手帖』の表紙だった。誌面を開くと広がっていた、今日にでもつくりたくなるような料理ページや、新鮮な視点の読み物、思いや迷いを隠さず紡がれた編集後記。そこで、その号から編集長が変わったこと、名前が北川史織さんであることを知った。 以来、久しぶりに雑誌を読む楽しさを味わいながら、どんな人がつくっているのか気になってきた。まぎれもなく『暮しの手帖』なのに、何かが違う『暮しの手帖』。9代目編集長である北川さんに話を聞きに行った。