緑豊かな自然と閑静な住宅街が広がるエリア・鎌倉山。その一角、海が望める小高い丘の上に立地し、セレクトされた本とコーヒーを楽しめるのが今回取り上げる「惣 common」だ。ここでは、東京からの移住者が地域の人々との関係をつむぐ場としての「本のある空間の可能性」を模索している。 公式サイトのトップに、不思議な店名の由来が記載されている。曰く、“惣”とは「今から500年ほど前に日本各地の集落で自然発生的にできた自治組織」で、その当時「自分たちの暮らしをより良いものにするために寄合が開かれて」おり、「共有の土地や水など(common)の使い方について話し合われる場となっていた」と。これを読むだけで、この場所をどういうものにしたいのか/したかったのか、明確な意志が感じられるのは筆者だけではないだろう。 本とコーヒーは人を集める手段 いわゆる高級住宅地である鎌倉山に、なぜこのような本を売るカフェが作ら