ウクライナ戦争で苦境に陥るロシアは、現場トップを次々と交替させている。今年1月に4人目の総司令官となったゲラシモフは、連邦軍から私兵まで複雑な組織を指揮せねばならない。ロシア正規軍らと共に戦う民間軍事会社「ワグネル」は、ドネツク州の要衝「バフムト」を守るウクライナ軍を攻囲するなど重要な役割を負うが、国際法上は「傭兵」であり、違法な運用だ。加えてワグネル創設者プリゴジンの増長がロシア当局の脅威となっており、ゲラシモフはジレンマに陥っている。ワグネルを管理下に置けなければ、ロシアがプリゴジンを排除する可能性もある。 ロシアのショイグ国防相は1月11日、ウクライナにおける「特別軍事作戦(ウクライナ侵攻作戦)」のロシア合同部隊司令官(以下、総司令官)に、参謀総長のゲラシモフ上級大将を任命したと発表した。プーチン大統領の承認を受けた措置である。 9カ月で総司令官が3度交代 2022年2月24日に開始