井上理 日経ビジネス記者 1999年慶応義塾大学総合政策学部卒業、日経BPに入社。以来、ネット革命などIT業界やゲーム業界の動向を中心に取材。日本経済新聞への出向を経て2014年4月より日経ビジネスの電機・ITグループ この著者の記事を見る
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欧米では極めて一般的になっているIMC(統合型)マーケティングが、日本で今までなかなか普及してこなかった理由の1つに、日本企業における独特なマーケティング組織の在り方が挙げられます。 そもそもクロスメディアとは 最近では“クロスメディア”という言葉が、流行りのキーワードとしてよく登場して、メディアで多くの事例が紹介されていたりもしますが、これらの多くは"従来のマス広告とネット広告、モバイル広告をうまく組み合わせましょう"というレベルのプランで、店頭施策や戦略PR、キャンペーンサイトに野外メディアまでも含んだ本格的な統合型プランの事例を目にすることは、稀です。 これまで長らく日本の多くの企業では、マーケティングと言えば"マス広告"のことを意味していました。 大量のテレビCMを投下することこそが、消費者に語りかける最も有効な手法であり、最高の品質の製品を開発し、店頭を中心としたセールスプロモー
(前回「計算上は正しい。でもそうは見えない」から読む) ――今、東京にいるお金持ちは、例えば六本木ヒルズの上層階に住むという発想はあっても、青山墓地ぐらいの土地を買い占めて、そこを森にして小さい屋敷を建てて、あとはほったらかしの空き地にする、ということはしません。お金があるのだったら、いっそのこと、そっちを考えてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。 養老 ロスチャイルドだな。ロスチャイルド家のばあさんが、イギリスに50ヘクタールの庭を持っていてね。そこでシフゾウ(注・四不像Elaphurus davidianus)というシカを飼っていたんですよ。シフゾウは原産地で絶滅しちゃって、清朝の庭だけで増えていたという伝説のシカでね。そいつを放して200頭になっていたというんだけど、面白いでしょう。そこにぜひ虫を取りに来なさい、と僕は許可をもらったんですよ。結局、行けなかったんですけどね。 で、
前回までのコラムでは、ファン獲得型のクチコミマーケティングを成功させるための、考え方や仕組み作りについて紹介しました。 ただ、このファン獲得型のアプローチにもデメリットがないわけではありません。ファン獲得型のアプローチにおいて最も深刻な課題として挙げられるのは、製品やサービスの評判についての自然なクチコミの展開には時間がかかるという点です。 前々回の「ファン獲得を加速させるクチコミの技術」や前回の「あなたのサービスはファンを巻き込んでいますか?」で書いたように、仮にSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「mixi」や無料ソフトフォンの「Skype」のようなサービス自体に友人を招待するメリットや仕組みを組み込み、Webメールサービス「Hotmail」のようにサービス利用者が可視化されるような仕組みにし、動画投稿共有サイト「YouTube」のように自社サイト外にサービスの露出先を増
ケータイでマーケティングをしていく際の懸念の一つが、「実際に使うのは子供ばっかりじゃないの?」という点です。 事実、ケータイにおけるメディアでは10代のユーザー層は無視できない比率で存在しています。たとえ、ケータイのヘビーユーザーではあっても、お小遣い程度の消費しか期待できない小学生、中学生は、多くの場合、マーケティングのメーンのターゲットにはなりません。メディアを運営する立場からすれば、何とか20代、30代以上のユーザーを増やして、マーケティング効果の高いメディアになろうと努力をすることになります。 今回、たまたま中学生とケータイについて話をする機会を得ました。文化祭で弊社の「顔ちぇき!〜誰に似てる?〜」の研究発表をしてくれた女子中学生の学校にお邪魔して、日常生活におけるケータイの利用や、飲食店などのマーケティングツールとの接触についての状況を聞くことができましたので、その内容を中心に「
自動車レースの最高峰であるフォーミュラワン(F1)。世界最高速のマシンを作り上げる技術チームのマネジメントはどのように行われているのだろうか。チームの力は予選タイムや決勝レースの結果となって如実に表れる。また、レースごとに改善点がうまくフィードバックできてマシンの性能が上がると、それは後半戦の成績となって表れてくる。 INGルノーチームは、かつての年間王者フェルナンド・アロンソが、10月12日のシンガポールGP、10月19日に富士スピードウェイで開催された日本GPと連勝して、年間ポイント上位のフェラーリとマクラーレンを上回るパフォーマンスを示した。 グランプリ連勝を成し遂げるマシンはどのような“技術経営”を行う戦略集団から生まれるのか。INGルノーチームの技術系トップとしてチームを支えるパット・シモンズ氏へのインタビューをもとにして、「世界最速を極めるチームマネジメント」をテーマに今週と次
70年代から80年代にかけてのフォークソング全盛の頃。多くのアーティストと仕事をしたことが、その後のアナウンサー人生に大いにプラスになっている。 歌よりも「話」を練習していた鉄矢さん 海援隊の武田鉄矢さん、アリスの谷村新司さん、グレープのさだまさしさん、かぐや姫の南こうせつさん…。あげればきりがない。デパートやスーパーの店頭催事から、渋谷公会堂(今のCCレモンホール)、武道館での公開録音に至るまで舞台の上で、ステージのそでで、私は司会者という立場を忘れ、いつも腹を抱えて笑い転げるばかりだった。「吉本的お笑い」が上陸する以前の東京では笑いの発信者はフォークシンガーであったと言っても、過言ではない。 開演を待つひと時、武田鉄矢さんは歌の発声練習以上に「ネタ」の最終チェックに心を砕いていたように思う。私をはじめ、スタッフ何人かを前に、出番ぎりぎりまで延々しゃべる! 「で、その日が吹雪で、客がその
世界中の株式市場が急落している。中東湾岸産油国の株式市場も9月に入り大幅な下落が続いている。アラブ市場最大の時価総額を持つサウジアラビアの株式市場も9月に20%下落、9月27日の株式指数(TASI)はついに7000ポイントの大台を割り込んだ。イード休暇明けの10月6日には10%近く下落、翌日7日には取引開始数分後に10%近く下落、ザラ場はサビックなどの大手石油化学株や銀行株が軒並みストップ安となり、上場株のほとんどすべてがマイナスとなった。10月7日現在、サウジ株式指数は年初来で43%も下げている。 サウジアラビアでは国民の大半が株式投資家であることから、株価下落は今年後半に入り個人消費や旅行などにも影響を与えている。毎年夏休みになると国民の多くは家族で海外旅行に出るが、今年が節約型になっていることは筆者の周囲にいるサウジビジネスマンの動向からも実感できる。最近ではこれまで好調だった自動車
今、家電が来ている(ブーム到来)らしい。いや何も、家電メーカーの雄、松下電器産業が10月1日に「パナソニック」に社名変更したという経済ネタを書こうというのではない。私が注目しているのは、今年に入って一気にブレイクしている「家電芸人(かでんげいにん)」たちだ。 深夜の人気バラエティー番組「アメトーク」に、ペナルティーのヒデ、品川祐、劇団ひとり、土田晃之、チュートリアル徳井、TKO木本、関根勤といういずれ劣らぬおしゃべり名人7人衆がプレゼンターで登場。司会を務める雨上がり決死隊の宮迫、蛍原の2人とゲストに、電気釜やオーブンレンジなどの家電製品について熱く語る企画が番組史上、最高視聴率を挙げて以来、大変なことになってきた(今回は文中敬称略)。 その1年前に私も、この番組の「通販番組パロディー企画」でダイソンの掃除機などを紹介したが、飯島直子さんはじめゲストのみなさんの予想以上の「食いつき(興味関
前回までのコラムでは、主にお祭り型のバズを狙ったクチコミマーケティングについて考えてみました。 今回は、お祭り型については一度忘れて、ファン獲得型のクチコミマーケティングのアプローチについて考えてみたいと思います。 以前のコラムで紹介したように、お祭り型のクチコミマーケティングは、「話題」が中心で短期間に盛り上がる傾向が強いのに対し、ファン獲得型のクチコミマーケティングは、話題よりも製品やサービスのファンが増えていく形で広がっていくパターンになります。 ファンを着実に増やすことができれば、そのファンがまた別の利用者を増やしてくれる下地となるという意味で、こちらのアプローチは地道ながらも足腰の強い方法といえます。 ただし、当然、ファン獲得型も万能というわけではなく、いわゆるお祭り型のバイラルマーケティング同様、向き・不向きやメリット・デメリットがあります。 特にファン獲得型のアプローチに取り
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン グリコの大人向けチョコレートのシリーズ「OTONA GLICO(オトナグリコ)」の新CMがネット上でたいへんな話題です。 長年にわたって日曜午後6時半からオンエアされているアニメ「サザエさん」。この「サザエさん」のエンディングテーマがテレビから流れると、強制的に週末の終わりを実感させられ、翌日からまた始まる会社や学校のことを思い出して憂鬱になる、いわゆる「サザエさん症候群」なる言葉があるほどの「国民的アニメ」です。 そんな国民的アニメの25年後の世界を実写化したのが今回のCMです。磯野家の兄妹、カツオを浅野忠信、ワカメを宮沢りえ、タラちゃんを瑛太、そして家族同様の付き合いのイクラちゃんを小栗旬が演じるという、国民的アニメにふさわしい豪華なキャ
初めまして。エヌプラスの中村祐介です。私たちの会社は、Webサイトの企画・開発、ロゴなどのデザイン、製品やサービスのコンセプト策定などさまざまな施策を通じて、企業のコーポレートアイデンティティ(CI)遂行のコンサルティングを手掛けています。 私の前職は日経BP社の記者でしたが、マーケティングコミュニケーションの仕事をするようになって最初に驚いたのは、「言葉」「文章」の効果的な使い方を知らないまま業務を行う企業がとても多いことです。言葉、文章はユーザーとのコミュニケーションを取る上で基本となります。このコラムでは私が業務を通じて得た知識、経験を基に、Webでユーザーの心をいかにつかむか、その文章術を紹介していきたいと考えています。 Webライティングは企業の名前を背負う重要な役割 新聞、雑誌、単行本、文庫――。こうした紙メディアに記載されている情報を得るためには、基本的にユーザーが対価を払う
「ストレス」と聞くと、自分という一個人が関わる問題と私たちは考えがちだ。だが、歴史を振り返れば、戦争や革命、飢饉、貧困といった、共同体とその成員の運命を翻弄するストレスをざらに目にすることができる。これらに比べれば規模は小さいが、身近なところでも、職場に他部署が決めた新制度が導入されるといった事例はよくあることだ。そうした外部からのストレス刺激にさらされたとき、地域社会とそのメンバーはどのような反応を示すのか。 今回は「社会とストレス」の関係に迫りたい。事例研究の対象として取り上げるのが、バングラデシュにある「グラミン銀行」だ。遠い異国の話と思われるかもしれないが、ここには社会的なストレスを考えるうえで参考になるエッセンスが多くある。 2006年、グラミン銀行の創始者、ムハマド・ユヌスはノーベル平和賞を受賞した。グラミンとはベンガル語で「農村」をさす。その名の通り、主に農村部の貧困層を対象
とうとう来たな、日本人の価値観の転換期。ファッションブランド「H&M」を取り巻く現象を見ていて感じたことです。H&Mの店舗にずらっと並んでいる光景は、いつの日か語り草になるかもしれない。「安いことを上手に使う日本人」。そんなことが、なぜか頭をよぎったのです。 原材料高、原油高、悲惨な事件の多発、災害、相次ぐ食品偽装事件、官僚の体たらく、泥沼化する年金問題、そして何も解決できない政治家。映画より小説より、想像を超えたことが現実の世界で頻発しています。 現象だけ見れば、夢も希望もない社会。明日への不安だらけです。 しかし待てよ、です。地球に訪れた突然の氷河期ではありませんが、大きく変化する前兆ではないだろうか。そう考えれば、悩んでばかりいられないという気持ちになりました。 私は、人類学者でもなければ、政治家でもありません。それでも、マーケティングという観点から見ることで、この変換点を捕まえられ
前回のコラムでは、短期的に多くの人に話題が広がることを狙うバイラルマーケティングは思っているよりも成功するためのハードルが高いという話を紹介しましたが、実は個人的には、そもそもネットでクチコミの広がりを狙う際に、バイラルマーケティングのみを語るのは大きな間違いなのではないかと感じています。 もちろん、バイラルマーケティングに魅力があることは確かです。しかし、実はインターネットが私たちマーケティングに携わる人間に提供してくれている可能性はそれだけではありません。 そこで、今回は、クチコミの盛り上がりのパターンについて、改めて考えてみたいと思います。 そもそもどのようなクチコミの盛り上がりを期待するのか 弊社もそのビジネスの特性上、お客様から「バズを起こしたい」「バイラルを生みたい」といった相談を受けることが多くあります。その際に、必ず一度振返っていただいているのが、そのバズやバイラルという言
あたしなんてもう結婚できない――、とその女性は泣いた。 私が泣かしたわけじゃないのだけど、泣いちゃった。話しているうちに感極まって。 表参道をちょっと入ったところにあるとあるバーでの出来事である。周囲の目もあり、たいへんバツが悪い中、何か慰めの言葉でもかけてやらなければと思いつつも、こういうときは放っておくのがいちばんだと思いなおすと、私は組んだ指の上に顎を載っけて視線を逸らし、ぼんやりと壁の絵画を見やっていた。 泣きたいときは泣いたほうがいいのだ。吐き出すだけ吐き出せば、あとは案外と早く立ち直ったりするからね。できれば、もう少しシチュエーションを考えて泣いてほしいところですが。中島みゆきも古いアルバムで歌っている。泣きたい夜に1人はいけないと。あれはちょっと意味が違うか。 しかし、周りから見れば、私はカノジョを泣かせた悪いやつなのである。たいへんな誤解を受けてます。滅多にあることじゃない
今回のテーマは「メール」です。 私が社会人になったのは1991年。まだその時は仕事でメールは使われていませんでした。 PCも部の8人で2台を共有。情報交換するには電話かファックス、もしくは直接会いに行くかしかなかった時代です。私はビルの21階にいましたが、社内連絡のため頻繁に非常階段を使って、19階、22階、23階と昇り降りした記憶があります。 それから17年。状況は本当に変わりました。 情報はスピーディに、その一方で…… 私が1日に受け取るメールは迷惑メールを除いても二百数十通。処理すべき情報の量は15年前の比ではありません。情報が動くスピードも桁違いに速くなっています。 メールによって、私たちはより多くの情報をより多くの人と短時間で共有することが可能になりました。これはまさしくメールが私たちにもたらした「功績」です。 では、一方でメールが生み出してしまった「罪」の方にはどんなものがある
40代の転職、5割が勤続年数2年未満 企業の中核を担う40代前半。厚生労働省の雇用動向調査(2006年)によると、40~44歳の離職者のうち、53.9%が勤続年数2年未満。2004年よりも1.9ポイント高まった。45~49歳を見ても、同期間で2.9ポイント上昇した。全体では2.4ポイント減だけに、40代の勤続年数の短期化が目立つ。この問題の根は、実はIT(情報技術)の抱える悩みと同じかもしれない。 少し前、知人の経営者から電話をもらった。沈んだ調子で、「今晩、酒に付き合ってほしい」とポツリ。彼の会社は小規模ながら順調に成長を続けており、その知人自身も普段は明るい御仁なのだが、その日に限ってはいつもと違う。もしや資金繰りの悪化でもあったのかと心配になり、居酒屋で話を聞くことにした。その内容とは…。 事業は順調だが、人手が足りない。中途採用でまかなおうと、時間をかけて丁寧に候補者と話し合った。
アウンコンサルティング モバイルグループ AEチーム パートナー兼シニアコンサルタント 渡辺 紀章氏 2008年8月21日 木曜日 杉本 昭彦 ケータイのネット広告市場、特にSEM(検索エンジンマーケティング)市場は急拡大を続けている。活用企業が増え、メディア系大手ケータイサイトの広告事業の好調ぶりも目立つ。ケータイSEMの現状や成功させるためのポイントを、2001年と早期からSEMに取り組み現在アウンコンサルティングのモバイルグループに所属する渡辺 紀章氏に聞いた。 ケータイの検索連動型広告の現状をどう見ているか。 利用が広がり、ナショナルクライアントが参入して単価が高騰。その結果、以前から活用していたコンテンツプロバイダーが苦しんでいるのが現状だ。今は転換期で、これからもさまざまな変化があるだろう。 また、(活況には)目立っている部分と困っている部分がある。目立っているのはミクシィなど
和歌山のミカン農家が始めた直売所が注目を集めている。それは「めっけもん広場」。産地の多くにある買い出し型の直売所とは異なり、都市部のスーパーに直接出店する出張型の直売所だ。「農家が儲かる直売所」として地元でも評判の存在になりつつある。 中間流通をなくした直販が儲かる、というのは誰もが知っていること。とはいえ、めっけもん広場に参加する農家の手取りは、農協などを通した市場流通に比べて倍も違う。それだけ、既存の流通システムには余計なコストがかかっているということだろう。 農協を中心とした出荷団体、卸売市場、仲卸、そしてスーパー。日本の農産物流通には数多くのプレイヤーが存在している。今日、小売りの店頭に多種多様な農作物が並ぶのはこうした仕組みが機能しているからだ。もっとも、中間流通のプレイヤーが多ければ多いほど高コスト構造になる。そのしわ寄せが生産者の手取りにいっている面は否めない。 「儲かる農業
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