いま行われている自民党総裁選は、日本の政党政治史上有数の身勝手で、したがって醜悪を極めた政争である。周知のように、衆議院総選挙が迫っている。総選挙における敗北、政権喪失の危機におびえての看板の入れ替え――自民党にとっての今回の総裁選の意義はそれに尽きる。 本来ならばコロナ対策の立て直しの時期 総裁選と新政権の発足に明け暮れる9、10月は、本来ならば、冬に必ず来る次の新型コロナ流行をにらんで、今度こそは医療崩壊を招かぬよう対策の抜本的な立て直しを図るための時間になるはずだった。しかし、この貴重な時間は失われ、ウイルスの変異の仕方次第ではこれまでよりも深刻な感染拡大が引き起こされるであろう。 あまつさえ、新型コロナ対策を審議するはずの臨時国会開催を憲法を踏みにじって拒絶したうえで、この政争は戦われている。ゆえに、この総裁選はどれほど厳しく見ても厳し過ぎるということはない。 これほどの犠牲を払い