日本はバブル崩壊の衝撃が大きすぎて立ち直れない時期がずっと続いた。デフレが20年も30年も続く異常な国になってしまった。安倍晋三元首相はそこに強烈な処方箋を書いた。デフレ脱却の最大の処方箋が「異次元の金融緩和」だ。 経済を再生させる設計図 第2次安倍政権前の民主党政権下では名目賃金が上がらなくても実質賃金が上がればいいという考え方があった。しかしデフレ容認とも誤解されかねない、この考え方は危険だ。投資をしなくても、デフレだからおカネは持っているだけでその相対的価値が増えるとすれば、国内総生産(GDP)を拡大する必要がなくなる。おカネを動かさないとおカネの価値が下がる経済に戻さなければならない。これが異次元の金融緩和の狙いだ。 ただそれだけでは終わらない。おカネを動かすためには、GDPギャップ(国の経済全体の総需要と供給力の隔たり)、つまり需要の不足を解消しなければならない。民需が伸びないの