一見するとただのオフィスビルだが、見上げると表面は鈍く光る金属のようなものに覆われ、ほとんど窓がない。周囲のビルに交じってひっそりと目立たないまま立っているが、普通のビルではなさそうなのがわかる。1階の入り口には大手電話会社「AT&T」の看板がある。2005年、このビルを舞台に、米国家安全保障局(NSA)の盗聴活動が明るみにでた。 ビルから西に2.5キロ離れたところに、ネット上のプライバシーなどの権利を守るために訴訟活動などをしているNPOエレクトロニック・フロンティア財団(EFF)がある。2005年の暮れ、ここに一人の男性が訪ねてきた。2004年5月に電話会社AT&Tを退職した技術者のマーク・クライン氏だった。 インターホン越しに彼と話したEFFの広報担当レベッカ・ジェシュケ氏は「見せたい書類があると言われ、中に入れた。告発の内容を聞き、最初は半信半疑だった」と振り返る。クライン氏が告発