一体、自分たちはどこに連れていかれるのか、というどうしようもない不安。ちょっと待って、少し立ち止まって考えようよ――。それが安全保障法案に対する多くの人の気持ちだったのではないか。 憲法解釈を都合よく変えて法制化に突き進むのは立憲主義の否定ではないか、国民の安全を本当に守ることになるのか。私たちは法案の問題点を指摘し、不安にこたえる説明と合意形成の丁寧なプロセスを安倍政権に求めてきた。 しかし、国会審議での安倍政権の姿は熟議の民主主義とは逆だった。法的安定性を否定する発言があった。首相自ら質問者にヤジを飛ばし、正面から向き合わない答弁に終始した。 この間、選挙以外の回路で民意をあらわすカウンターデモクラシーともいえる新たな動きが芽生えた。個人が自主的に参加し、若い人も含めた幅広い層を巻き込んだ。背景には憲法と民主主義を軽んじるリーダーがひきいる政権と与党に対する増幅された不信と疑念がある。