西日本豪雨で肱(ひじ)川が氾濫(はんらん)し、3千戸が浸水した愛媛県大洲(おおず)市。川沿いに885人が住む三善(みよし)地区は約60戸が床上浸水し、2メートルほどつかった家もあったが、取り残された人はいなかった。高齢者も含めて、素早く避難できた理由の一つは、あるカードにあった。 激しい雨の中、三善地区に避難勧告が出たのは今月7日午前7時。地区内にはサイレンや防災無線のアナウンスが鳴り響き、避難場所に指定された公民館には、続々と人が集まり始めた。 一人暮らしの白石志真子さん(86)は、公民館から歩いて数分のところに住む。「近いからまだ大丈夫かな」と迷っていると、「逃げなあかんよ!」と近所の数人から声をかけられ、急いで準備した。 勧告は午前7時半には避難指示に変わった。そのころ、川の上流にある鹿野(かの)川ダムで緊急放流が始まり、下流で氾濫が起きた。三善地区では午前9時50分に近くの堤防で越