<do-ki> 「生きづらさ」という言い方が広まったのは2000年代以降らしい。メディアの用例をたどると、当初は性的少数者や虐待などの見えにくさを平易に伝える工夫だったのが、ニートなどの就労問題で用いられ、やがて親子関係や女性・若者の悩み全般を語るのに広く使われだしたという。 だからだろうか。最近はどこか生ぬるい語感も漂う。「自分らしさが満たされない」と嘆く程度の不安も、しばしば「生きづらさ」として語られるからだ。 少子化のさまざまな原因は、くくれば若い世代の生きづらさ問題にある。結婚、収入と教育費、家事育児分担、働き方、職歴形成。どれも「私」「個人」の「自由」や「幸福」が、結婚や子供によって割を食うのはご免という経済的動機である。難民の境遇に比べれば切実感は乏しい。