新型コロナ「第5波」の勢いが収まらず、首都圏を中心に医療体制が逼迫(ひっぱく)の度を増している。にもかかわらず、菅政権は酒類の提供対策に続き、入院方針の転換をめぐっても迷走を繰り返した。緊急事態宣言下での東京五輪の強行で、行動抑制の訴えも国民に届かない。 このまま人々の命と暮らしを任せて大丈夫なのか。政治指導者としての菅首相の資質が厳しく問われる局面である。 首相は昨年9月の就任当初から、コロナ対策を最優先課題に掲げ、最初の所信表明演説では「爆発的な感染は絶対に防ぐ」と誓った。だが、感染の波は断続的に訪れ、今年に入ってからは、宣言やまん延防止等重点措置がほぼずっと続いている。 この間、政権の対応はしばしば、「後手後手」「場当たり」と批判された。「Go To トラベル」事業や東京五輪開催への首相の強いこだわりが、判断を曇らせたのではないか。 未知のウイルスへの対応に、試行錯誤はやむをえないと