QOLの向上が必要な場面は、入院生活だけにとどまらない。 「退院したら復帰宣言のテレビのオファーが来たんですけど、そのとき眉毛が全部抜けて、コワモテの顔になっていたので、断ろうと思ったんです。でも妻に『お金がもらえません』と言われて、メイクで眉毛を描いたら“これはイケるな”と、すごく気分が上がったんです。それからは、メイクをしてテレビに出るようになりました」 がんと診断されても、多くの人が通院治療で一般生活を送っており、そうなると自分の見た目に人一倍気をつかうことになる。患者会に参加すると、ウィッグの色の違いに服装を合わせるなど、ファッションとして楽しんでいる人もいたそうで、「今はアピアランスケア(=外見の変化に対するケア)というのも重要になってきていて、国立がん研究センターにも専門のチームがあり、相談窓口があるんです。治療が終わったら全部終わりではなく、社会復帰しやすくする方法があるとい