不可視都市 (星海社FICTIONS) 作者:高島 雄哉発売日: 2020/03/15メディア: 単行本(ソフトカバー)この『不可視都市』は知性に関する3つの定理を解き明かす過程で「物理的に世界を変質させていく」様を描き出した、『ランドスケープと夏の定理』でデビューした高島雄哉最新作。東京大学理学部卒、その後に東京藝術大学を出て、今は小説家兼アニメやゲームなどのSF設定考証をつとめる異色の経歴を持つ著者だけれども、今回もそのバックボーンを活かすように、数学と物理と哲学が交錯し、「数学が世界を書き換えていく」様を描き出していく、超ド級のSFに仕上がっている。 世界観とか 2109年の22世紀、20世紀中盤、21世紀の後半と3つの年代と登場人物の物語が並行して語られる本作だが、中心となっている概念は書名でもある〈不可視都市〉だ。発端は2108年のこと、突如世界各国の兵器の根幹である致死性自律兵