Abstract 本論文は、電子書籍をめぐる大きな技術的動向、ビジネスモデル展開などについて、電子書籍を取り巻く現状、そして図書館サービスへの影響という点から新たな考察を加えるものである。検討対象とした事項は、(1) 技術動向としてのEPUB3.0 ドラフト確定及びHTML5.0/CSS3.0、(2) 電子書籍の価格モデルとその実体、(3) 明らかになってきた「黒船3 社」のビジネスモデルの詳細な相違、(4) 電子書籍のもたらすものの分析、(5)一部、公立図書館での「電子書籍サービス」開始とその評価、である。公立図書館における電子書籍への関心は少なくないが、費用対効果比、アクセス権の保障、個人情報の保護などの観点からいくつかの課題点も浮かんできており、それらについて整理・考察を行なうことを通して、公立図書館の今日的意味を問い直す。