中南米を代表する文学者で、評論家でもあったカルロス・フエンテスさんが15日、メキシコ市内の病院で死去した。83歳だった。地元メディアなどが伝えた。心臓を患っていたという。 パナマ生まれ。初の長編「澄みわたる大地」(1958年)などで注目を浴びた。「アルテミオ・クルスの死」(62年)で海外でも知られるようになり、メキシコ革命を題材にした小説「老いぼれグリンゴ」は、ジェーン・フォンダ主演で米国で映画化もされた(邦題「私が愛したグリンゴ」)。ガルシア・マルケスらと並ぶ中南米を代表する作家で、ノーベル文学賞の候補にも取りざたされた。 メキシコ外務省に勤務し、駐仏大使なども歴任したが、68年の学生弾圧・虐殺があった当時の大統領の駐スペイン大使就任に抗議して78年に辞職。米ハーバード大などでも教えた。(ロサンゼルス=藤えりか)