戦前に教育を受けた方々は「和気清麻呂」を小学校の教科書で習い、知らない人はいないらしい。また戦前の10円札の表面には、その想像上の清麻呂像が印刷されてあり、裏面には清麻呂の守り神である「野猪」が刷られてあったとのことである。筆者はそのお札は全く知らない。明治以後の皇国史観に基づかれた忠臣「和気清麻呂」の姿である。 極々一般的には、[奈良時代に女性天皇(称徳天皇)に取り入って、自分も天皇になろうとした「弓削道鏡」というとんでもない坊主を、宇佐八幡宮の神託を受けて「和気清麻呂」という忠臣が、「天皇家の血筋でないものが天皇になることは出来ない」と女性天皇を諫め、道鏡が天皇になることを止めさせ、自分は流罪になったが、日本の国体の最大の危機を救った。]というお話である。