人類は神になるのか? 遠い未来の地質学者が、私たちの生きる時代を調査したら、こんな結論に至るだろうーー「人類の影響による惑星規模の変化があった数々の痕跡が見つかる」。ノーベル化学賞を受賞したパウル・クルッツェンらは、こうした大転換に、「人新世」という新たな地質年代を名づけることを提唱した。 本書は、人類の及ぼす惑星規模の変化を、テクノロジーの面から探究する。今や人類は、自然の仕組みの最も奥深くまで手を延ばし、それをつくり変えようとしている。原子・遺伝子・生命・種(しゅ)や生態系・人類自身・気候に至るまで、思い通りに設計し合成(人工化)しようというのだ。 こうしたテクノロジーによる変化は、気候変動や環境破壊などとはまた違った様相を示している。気候変動などは人類が意図したわけではなく、産業・経済活動による意図せざる結果だった。しかし、合成テクノロジーは違う。はじめから明快な狙いをもって、万物を
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