2012年02月24日10:11 カテゴリ本 勤勉と「ものつくり」の終わり きのうメモのつもりで書いた記事が、驚くほど多くのアクセスを集めたので、少し補足しておこう。 速水融氏の「勤勉革命」は世界的な業績で、最近ではアリギなどウォーラーステイン学派にも援用されている。彼によれば、西洋の産業革命は資本集約的で、領土を拡大して資本を蓄積するために海外に植民地を拡大したが、東アジアは労働集約的な勤勉革命で発展したので、領土的野心がなかった。これが東西の経済力の大きな差になったという。 資源の乏しい日本が驚異的な成長を遂げた一つの原因が、この勤勉のエートスだった。ベラーは『徳川時代の宗教』で、日本人の労働倫理をプロテスタンティズムに比しているが、プロテスタントの目的が資本蓄積だったのに対して、日本人は長時間労働によって経済力を高めた。江戸時代にこうした労働組織ができていたことが、明治以降の近代化に