2010年にデニソワ洞窟の発掘現場で見つかった臼歯の化石は、新しいヒト科ヒト属(ホモ属)であるデニソワ人の存在を示す重要な遺伝的証拠となった。この臼歯は、5万年以上前の女性のもの。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NATIONAL GEOGRAPHIC) 5年前の2010年に報告されたばかりの謎多き“第3の人類”デニソワ人。その歯の化石を分析したところ、彼らは現生人類やネアンデルタール人と数万年もの間共存していたことが、11月16日付けの科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」の論文で明らかになった。 我々ホモ・サピエンスの祖先が、かつて他のヒト科ヒト属(ホモ属)とユーラシア大陸を共有していたことを裏付ける研究結果である。約4万年前に姿を消したネアンデルタール人は、現生人類と数十万年もの間すぐそばで暮ら