セキュリティ業界が活況だ。APT攻撃とも呼ばれる2011年の事件をきっかけに、新たな光が射したが、その分だけ影も色濃く出てしまった。標的型攻撃からセキュリティビジネスの本質について述べる。 セキュリティの主流になった“標的型”攻撃対策 ここ数年、セキュリティ市場が言う対策とは、「標的型攻撃対策そのもの」と言っても過言ではない状況だった(それが正しいかは置くとして)。標的型攻撃とその他の攻撃との違いは何か。“標的型”攻撃とは、不特定多数を狙うのではなく、攻撃者が必ず手に入れたいと思っている貴重な機密情報を持つ相手を標的にして、その標的だけをしつこく狙う。その1点だけだ。 “標的型”以外の攻撃は、不特定多数を対象とした“無差別”攻撃といえる。ただし、現在の攻撃の目的はそのほとんどが金銭であり、完全な無差別攻撃ではない。つまり、“お金になりそうな情報なら手当たり次第”の攻撃だ。「お金を狙う」とい