コンピュータで日本語を扱おうとすると、いちばん問題になるのは漢字である。一般の ワープロでは、6300字を超える漢字が使えるので、もう十分と考えている人も多い。 特に、コンピュータ技術者に多い。 しかし、今のコンピュータの漢字では、残念ながら多くの分野で記述できないものが出 てくる。まず、人名、地名、社名が大問題である。6300字程度では、とてもこれらの 固有名詞を網羅できない。適当に別の字を使わなければならない。それで、役所の事務処 理をコンピュータ化するため、あらゆる固有名詞をコンピュータの字に変えさせようとい う動きがある。まあ、はっきりいって無茶苦茶である。 難しい歴史書とか漢籍、教典の類いだけが今のワープロの漢字で取り扱えないと思って いる人がいるが、とんでもない。小学校の教科書だって困るのである。森鴎外の「鴎」は 略字である。こんな字で印刷している本は、まず無い。「区」は「區」