2015年9月、今後のシリア情勢に大きな影響を及ぼすであろう二つの出来事が起きた。一つは、欧州への難民・移民の流入に対する関心の高まりであり、もう一つは、ロシア軍によるシリア領内での空爆開始である。 このうち、シリア領内でのロシア軍による空爆に対して、欧米諸国の首脳・政府高官、そしてメディアは、ダーイシュ(イスラーム国)だけでなく、「独裁体制」と戦う「反体制派」や民間人を標的としているとの批判を繰り返している。また、ロシアの空爆で「反体制派」が弱体化すれば、バッシャール・アサド政権とダーイシュの双方が勢力を伸ばし、シリア国内がさらに混迷するといった懸念が表明されている。 しかし、カッコ付きで敢えて標記したシリアの「反体制派」への空爆は、欧米諸国にとってどのような意味を持つのだろうか? シリア軍の弱体化に対処するためロシアの軍事・技術支援が具体化ロシア軍によるシリア領内での空爆開始は、シリア