大学時代の話。 ある日学寮で数人の寮生と共に留学生と雑談をしていたとき、彼の出身地が話題に上った。 彼はアルジェリア人であるらしい。 恥ずかしながら浅学なもので、アルジェリアという国がどういう国なのか、想像が及ばない。 モロッコあたりならこう、『カサブランカ』のイメージで、いやそれだってフィクションの中の一都市でしかなくて失礼な話だが、まあ、なんとなく。 誰ぞ気の利いた話題をひねりだせないもんかと他の学生に目を向ける。 すると、とんでもない言葉が飛び出すのである。 え? どこやっけそれ。 しかもひとりではない。仮にも旧帝国大学の学生のくせして、アルジェリアの位置を把握していない人間がぼろぼろいやがるのだ。 まあ、慣れているのだろう。アルジェリア人の彼は自国の位置を説明してくれる。だがまだ終わらない。 あろうことか目の前に居るアルジェリア人の彼が黒人でないことに驚くのである。 なに言ってんだ