国内全17カ所の原発で東京電力福島第1原発級の事故が起きると想定して防災計画を見直す場合、避難を検討する対象人口が大幅に増えるとの試算を谷謙二・埼玉大准教授(人文地理学)がまとめた。現在、国や自治体の防災計画の対象は「半径10キロ圏内」だが、福島原発事故では約47キロ離れた福島県飯舘村が全員避難を前提とした「計画的避難区域」に指定された。全国の原発の地元では今後、防災態勢の充実が急務となる。仮に範囲を「50キロ圏内」に拡大すると、対象は全国で1200万人を超え、避難場所や非常用食料の確保などコストを伴う課題も予想される。【平野光芳、足立旬子】 国は内閣府原子力安全委員会が定めた防災指針に基づき、原発からおおむね10キロ圏内を「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」(EPZ)と定めている。自治体もそれに沿って原子力防災計画を立て、住民への周知や避難場所の確保、被ばくを抑えるヨウ素剤備蓄など