筆者の手元に、中国人民大学出版社から刊行された『政治学原理』という大学院の教科書がある。中国人民大学・北京大学・清華大学・復旦大学など中国の名門大学の教授らが編纂したもので、現在、中国では多くの学生がこれを教材として使っている。 中身は「政治学の研究法」から始まって「国家と政府」「価値と文化」「政府と国民の関係」・・・などと編集されている。目を引いたのは、第7章の「軍事力」だ。中国の政治において「軍事力」とはどのように定義されているのだろうか。 ページをめくってみると、そこには「軍事力」の意味から始まり、その起源や発展の過程、特徴、さらには国家政治における位置づけ、主要先進国における軍事力の現状、国際政治の中における役割など、その解釈がこと細かに書かれている。 全体的には、武力の行使を積極的に支持している印象を受ける。確かに中国の歴史は戦闘の歴史そのものであり、近代史においては民族自決のた