きれいなご飯、というのが嫌いだ。 真っ白なお皿に余白たっぷりに盛り付けられた、何か分からない野菜、ソース、テリーヌやパスタ。見た目は芸術品のような料理たちは、スマホのカメラによって切り取られ、彩度さえ調整される。いいね!は増えるばかりだが、肝心の味はなんだかぼやけて、ただただ材料の味、ということは数えればキリがない。 ほんとうに「おいしい」ものとは、一体何だろう。 それは、いわゆるオシャレなカフェに自ら突き進んでいくことでは、得られないのである。もちろん、オシャレなカフェのきれいなご飯でも、おいしいものは存在する。きちんと下ごしらえされた、丁寧につくられた料理というのは、一口食べれば分かるものである。しかし、ほんとうに「おいしい」ものはきれいなものとは限らず、むしろ意識しない、ふとした場所にあるのだ。 ふと立ち寄った店の何てことのないブリの刺身。路地裏の店のスープカレー。スーパーに売ってる
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