2004年、愛媛県今治市で小6男児が蹴ったサッカーボールがゴール後方の塀を越え、オートバイに乗車していた85歳の高齢者が転倒、後に死亡した事故が発生。この件の民事訴訟判決で、4月9日、最高裁で下った判決は大きな反響を呼んだ。 山浦善樹裁判長は、約1180万円の両親への損害賠償を命じた二審の判決を破棄し、遺族側の請求を退けた。 保護者に対する責任の度合いについて議論が深まるのは歓迎すべきことだが、判決の影響は思わぬところに波及しそうだ。日弁連「子どもの権利委員」を務める三坂彰彦弁護士が話す。 「今回の裁判では塀の高さやゴールの設置場所など学校側の管理責任を問われる可能性があったのですが、争われなかった。こうした事故の場合、民法714条の規定(※注)から損害賠償を親に求めることが司法関係者の間では通例だったからです。 【※注/民法714条では、責任能力を欠く12歳未満の子供が事故などを起こした