新型コロナウイルスについては、米バイオ薬品大手モデルナによるワクチンの開発が順調に進んでいるとの報が流れてナスダック総合指数が上昇するなど、今後に希望を抱かせる動きも見られている。 だが、筆者はこの問題について、依然として慎重な(端的に言えば悲観的な)見方をとっている。「有効なワクチンが開発され、迅速に増産が進んでグローバルに普及するならば、コロナの危機は収束する」。この見方を筆者は基本線として維持し続けているのだが、話はそう単純なものではない可能性が、徐々に大きくなっている。 集団免疫は難しい? スペイン保健省は7月6日、スペイン人約7万人を対象にした、3カ月にわたる3回の新型コロナウイルス抗体検査の結果を発表した。1回目の検査で陽性だった被験者の14%が、3回目の検査では陰性だったという。このウイルスに感染した後に体内で作られた抗体が短期間で減少してしまうことを、この結果は示している。