私は過去、ここに来た事があった。 その時の様子は、閑散を絵に描いて額に入れリビングに飾るといったような有り様で、『酷い』を超越しており、それは私に美術館にいるような『清々しさ』を与えるには十分な『貸し切り状態』であった。 美術館の中で見る、魚たち。 いや、鯰たち。 わたしは鯰を愛していた。 そしてその鯰にスポットを当てたこのスポットを私は愛さずにはいられなかった。 鯰、なんと美しい魚であろうか。 体色は夜の闇に溶け込み、視力の悪さ所以のつぶらな瞳、いつも笑っているような口の横からは、お髭が生えており、水面に浮かぶ自家製疑似餌に果敢に飛びつくその姿は、少年の私を完全に虜にした。 月日は流れた。 社畜となりて迫害と剥奪を繰り返され、彼らのように自ら心の視力を退化させた私の目にさりげなく飛び込んできたチラシ広告。 『琵琶湖博物館リニューアルオープン』 行くしかない。もう一度、私は彼らに会い、少年
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