企業は一般に職務発明を奨励するため発明報奨制度を設けており、多くの国では職務発明制度が法律で定められている。発明報奨は、時期的には、特許出願時、実施や権利化前、自社で実施した時や他者へのライセンス・権利譲渡をした時等に付与され、その内容としては、金銭的報奨、非金銭的報奨、人事処遇等がある[1]。 日本の特許法における職務発明は、「従業者等」(会社の従業員など)が職務上行った発明のことである。 特許法は、発明をした者が特許を受ける権利を有すると定めており(特許法29条1項柱書)、会社の従業者が職務上発明を行った場合でも、特許を受ける権利は従業者個人に原始的に帰属する。しかし会社が多額の開発投資を行った結果として生まれた発明について従業者個人が特許を取得することとなれば、会社は開発投資に見合った収益を得られず、開発投資への意欲を失わせてしまう。 そこで、使用者と従業者との利益のバランスをとるた