ブックマーク / honz.jp (11)

  • 『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ

    具体的な数字やデータを示してもダメ。明晰な論理で説いてもムダ。そんなとき、あなたはきっとこう思ってしまうのではないか。「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」。 実際問題、日々の生活でそんな思いを抱いてしまう場面は少なくないだろう。失敗例がすでにいくつもあるのに、それでもまだ無理筋を通そうとする社内のプレゼンター。子育てのあり方をめぐって、何を言っても聞く耳を持ってくれないパートナーなど。また不思議なことに、たとえ高学歴の人であっても、「事実に説得されない」という点ではどうやらほかの人と変わらないようだ。 さて書は、冒頭の問いを切り口としながら、人が他人に対して及ぼす「影響力」について考えようとするものである。心理学と神経科学の知見を織り交ぜつつ、著者は早々に厳しい診断を下す。 多くの人が「こうすれば他人の考えや行動を変えることができる」と信じている方法が、実は間違っていた…。 数字や統

    『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』 不都合な真実から目を背ける人たち - HONZ
  • 『文系と理系はなぜ分かれたのか』単純だが、悩ましい分類のこれまでとこれから - HONZ

    理系か文系か、この二分法は、日常に浸透し、まるで血液型のように、はじめて会う人同士の話題になることが多い。そして、文系であるか理系であるかでレッテルを貼り、個人を理解しようとする。Wikipediaの「文系と理系」というページで展開されている「文系と理系を巡る観念的な印象」は、その代表例である。 4.1数学のできない「普通の」文系、それ以外の「特殊な」理系 4.2文系は優雅、理系は律儀 4.3文系は言葉で考える 4.4文系は前提の吟味をしない 4.5理系は会話下手 4.5.1理系男子は結婚できない 4.6理系にはオタクが多い 4.7男子は理系、女子は文系 (Wikipediaより引用) 得意科目ならまだしも、性格、コミュニケーション能力、就職や結婚の適性など、過剰に二分化されている。高校時代に明確な理由を持って文理を選択した人もいれば、なんとなく選択した人もいるだろう。しかし、文系であるか

    『文系と理系はなぜ分かれたのか』単純だが、悩ましい分類のこれまでとこれから - HONZ
  • 『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう - HONZ

    『<効果的な利他主義>宣言!──慈善活動への科学的アプローチ』 どうせよいことをするなら、最高によいことをしよう 近年、欧米の若い人たちの間で、とりわけミレニアル世代の抜群に頭のいい人たちの間で、寄付と慈善活動に関するひとつの運動が盛り上がりをみせている。運動の象徴ともいえるピーター・シンガーだけでなく、スティーブン・ピンカーなどの著名な論者も支持の声を上げているので、あなたもその運動について耳にしたことがあるかもしれない。それは、「効果的な利他主義(effective altruism)」という運動である。 効果的な利他主義は「利他主義」である。だからそれは、他者の助けとなる行動を奨励する。でもそれは、寄付や慈善活動を無条件に奨励するのではない。効果的な利他主義は、それらが「効果的」であることを要求する。つまり、ただ単に寄付や慈善活動を行うのではなく、できるだけ多くの利益につながるように

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  • 『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』 - HONZ

    世界の自然保護は、大論争と新しい希望の時代に入った感がある。人の暮らしから隔絶された 「手つかず」の自然、人の撹乱を受けなかったはずの過去の自然、「外来種」を徹底的に排除した自然生態系、そんな自然にこそ価値ありとし、その回復を自明の指針としてきた伝統的な理解に、改定をせまる多様な論議・実践が登場している。 ここ10年ほど、その新時代を展望する出版が英語圏で目立っている。一端は関連の翻訳書(ピア ス『外来種は当に悪者か』〔草思社〕など)を通して我が国にも波及しているが、実は2011年に出版された書の原書Rambunctious Garden: Saving Nature in a Post-Wild World (Bloomsbury)こそ、 新時代到来を告げただった。著者エマ・マリスは、ネイチャー誌をはじめとする専門誌を舞台に、崩壊する古い論議、新しい実践、そして新しい自然のヴィジョ

    『「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護』 - HONZ
  • 『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない - HONZ

    仕事と家庭は両立できない?-「女性が輝く社会」のウソとホント』(原題:Unfinished Business: Women Men Work Family)の元になった、The Atlantic誌2012年7-8月号の論考『女性は仕事と家庭を両立できない!?』(原題:Why Women Still Can’t Have It All)の中で、アン=マリー・スローター教授が訴えた現代社会の「不都合な現実」は、フェミニズム先進国のアメリカ社会で大論争を巻き起こした。 フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOOが、働く女性の意識改革を訴えて全米大ベストセラーとなった『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(原題:”Lean In: Women, Work, and the Will to Lead”)の出版からまだ数か月という時期に、元国務省高官で現プリンストン大学教

    『仕事と家庭は両立できない?』男性の平等が達成されなければ、女性の平等も実現しない - HONZ
  • 数学がはじまる瞬間 —『数学する身体』に寄せて― - HONZ

    数学する身体』は、独立研究者・森田真生氏が「数学とは何か」そして「数学にとって身体とは何か」を自問しながら数学歴史を追いかけた一冊である。その流れは、アラン・チューリングと岡潔の二人へと辿り着く。 そしてこの森田氏の試みを応援すべく、二人の刺客が客員レビューに名乗りを上げた。一人目は科学哲学を専門とし、同じように身体論へアプローチする下西 風澄さん。彼は書を「格闘の書」と評す。ちなみに2人目は10月21日に掲載。乞うご期待。(HONZ編集部) 私たちが心を高鳴らせるのは、いつも「はじまりの瞬間」である。 数学という完成された美しい建築物を眺め、そして学ぶとき、私たちはその起源を忘却している。しかし、そこには確かに、不安になるほどの未知と可能性に開かれた「はじまりの瞬間」、そしてそこから走り出す物語があったのだ。 書は、「数学がはじまる瞬間」、その風景を垣間見せてくれる。それは、生ま

    数学がはじまる瞬間 —『数学する身体』に寄せて― - HONZ
  • 連続殺人犯は遺伝するか『暴力の解剖学』 - HONZ

    では馴染みがないが、神経犯罪学=neurocriminologyという分野がある。犯罪の原因には社会環境的な要因だけでなく、生物学的要因が密接に関わっているのではないかという見地から、遺伝的要因、胎児期・周産期の影響、外傷を含む後天的脳障害、自律神経系の異常、栄養不良や金属などの脳への影響などを研究する学問だ。 一般に凶悪な犯罪が起こった場合、虐待などを含む家庭環境や、貧困などの社会的環境を調べ、それを要因のひとつとする場合が多い。とりわけ裁判では情状酌量の証拠として提出されるものだ。たしかに、それによって社会的な環境が整備され、より良い社会を作ることはできる。 しかし、それは咳をして熱があるから風邪だと断定し、対症療法として解熱剤などを処方することに等しい。来は風邪のウイルスを特定し、そのウイルスが体内でどのように作用しているかを知ることで、根的な治療をするべきなのだ。(風邪ウィ

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  • 『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』 - HONZ

    センサなどによる詳細な観測で得たビッグデータにより、人間は他者からどのような法則で、影響を受けるのかが明らかになっているという。それを可能にしたのが「社会物理学」という新しい分野。 かつて『データの見えざる手』で話題を呼び、著者のペントランド教授と共同研究をした経験も持つ矢野和夫さん(日立製作所研究開発グループ)に「社会物理学」について解説いただきました。(HONZ編集部) 書は、Alex ‘Sandy’ Pentland教授の Social Physics: How Good Ideas Spread-The Lessons from a New Science (2014)の全訳である。 ビッグデータに関しては、最近ではたくさんの書籍が出版されている。 それらの中で『ソーシャル物理学』に書かれていることは、他書の追随を許さない高みにある。どこが違うのか。著者人には書きにくいことも含

    『ソーシャル物理学 「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』 - HONZ
  • 『偶然の統計学』その偶然、意外と起こるかも? - HONZ

    良くも悪くも、「ありえない」ことがたびたび起こるのが世の中だ。大多数の人はかすりもしない宝くじで、一等を複数回出した人は何人もいるという。統計モデルでは限りなく低確率とされていた金融市場の大暴落は、近年だけで何度も起きてしまった。 2009年9月6日、ブルガリアの国営ロトは当選番号としてランダムに「4、15、23、24、35、42」を選んだ。その4日後の2009年9月10日、ランダムに選ばれた次のロトの当選番号は、前回とまったく同じ「4、15、23、24、35、42」だった。 52年の歴史を誇るブルガリアの国営ロト史上、異例の事態である。当時のメディアは大騒ぎ。同国のスポーツ大臣は調査を命じた。大がかりな不正行為でもあったのか? 前回の番号が何らかの方法でコピーされたのか? しかし書によれば、確率を正しく見積もると、そうした限りなく起こりそうにない出来事が実は起こってもおかしくないという

    『偶然の統計学』その偶然、意外と起こるかも? - HONZ
  • 『ファインマンさん 最後の授業』いつも心にモンダイを――世界と人生を楽しむために - HONZ

    人と人が出会う。ある時、ある場所で、お互いに限られた人生の一部がなんの因果かたまさか交わる。折に触れて言葉を交わす。問い、問われ、考える。そんなことでもなければ思いもしなかったかもしれないことが脳裏に兆す。その出会いがなかったら、いまの自分はこのようではなかった。そう思われる出会いというものがある。 書は、1980年代はじめに若き物理学徒だったレナード・ムロディナウが、カリフォルニア工科大学で出会ったファインマンや同僚たちとの交流を描いた回想録である。原書はFeynman’s Rainbow: A Search for Beauty in Physics and in Life (Warner Books, 2003)。そのまま訳せば『ファインマンの虹――物理と人生に美しいものを求めて』となろうか。あなたがいま手にしておられるこのは、かつて『ファインマンさん 最後の授業』(安平文子訳、

    『ファインマンさん 最後の授業』いつも心にモンダイを――世界と人生を楽しむために - HONZ
  • 科学は生死の境界線を動かし続ける『人はいかにして蘇るようになったのか』 - HONZ

    死は可逆的なプロセスとなった 心拍が停止し、呼吸が停止し、瞳孔が拡大・固定される。この3つの条件がそろった場合、人は死んだとみなされていた。しかし近年の蘇生科学の発達は、遺体がこれら3つの条件を示した数時間以内であれば、人間を蘇らせ、脳や記憶に障害を与えずに元の生活に戻すことを可能とするようになった。 書では、幾度となく心停止の現場に際してきた臨床医師であり、ニューヨーク州立大学の医学助教授である著者が、蘇生科学の最先端の知見に基づき、死の現場で起きていることを明らかにしようと試みる。 私たちはよく生前と死後という表現を用いる。むろんその間にあるのは死だ。死という名のある一点におけるイベントが、両者を非連続に、そして永久的に分つ様を連想させる。しかし蘇生科学の発展は、死が0次元の瞬間ではなく、時間軸上の長さをもったプロセスであることを示唆している。「死んでいる最中」という状況が存在すると

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