先日「Web進化論」という本をこのブログで紹介しましたが,その中に "Long Tail" というキーワードが出てきます.これは,一般に言われる "パレートの法則",80対20の法則などと言われるものに対比させて説明されることが多いようです.例えばビジネスの文脈では,全体の売上の80%は(売れ筋の)20%の商品から成っている,というような話です. この部分を読んだときには「これって結局は確率分布を仮定しなきゃ決まらない話なのになぁ」と思ったものです.それには背景知識があって,最近の経済物理学で一躍脚光を浴びるようになった "べき分布" のことを "正規分布" と対比させて知っていたからです.正規分布は裾が急速にゼロに近づく分布です.その速さは尋常ではなく,2次関数の指数関数の逆数の速さですから,あっという間にゼロに近づき,しかもその速さはしつこくぐいぐいと加速していきます.これに対してべき
経済物理学の発見 光文社新書 高安 秀樹(著),価格: \798 (税込) 御夫婦共著の前作「エコノフィジックス」(日経)に比べるとだいぶこなれてきたという印象です.臨界現象,くりこみ,フラクタルなど,統計物理学のツールを経済現象の生のデータに適用して解釈するとどのような視界が開けてくるのか,著者自身の研究遍歴をなぞるように記述が進むところがとても読みやすいです. この本のハイライトは以下の二点です.まず一つは自由市場での価格決定メカニズムが臨界現象であることを看破したこと.これは経済物理学の非常に大きな発見だと言ってよいでしょう.厳密な検証にはまだ時間がかかるでしょうし,ゲーム理論や行動心理学などとの連携も必要でしょうが,物理屋の直感によく合っています.またここからインフレーションやハイパーインフレーションの数理モデルを導き出し,歴史事例による検証を行っている点も光っています. もう一つ
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