エコノミストの中には、消費性向が低下して貯蓄が増すと、条件反射のように「将来不安が増大した」と唱える人が居て、「不安を除くには財政再建」と大仰な処方を出したりする。実際の消費性向は、そうした心理で動くものではなく、収入や物価によってマクロ的に決まる。そうでなければ、2014年の消費増税を境に、消費性向が急低下していることの説明がつかない。もっとも、消費増税をしたために、ますます財政再建が不安になったと言うなら別であるが。 ……… 家計調査(二人以上の勤労者世帯)には、実収入に占める「非食料消費」の割合が半世紀もの長きに渡り一定を保ってきたという「法則」の存在が知られている。正確には、極めて安定的な中、長期的な景気変動を示す緩やかな下降と上昇を繰り返している。そして、残る「食料消費」は、1997年までは、年を追うごとに低下していた。つまり、経済成長で所得が増えるに従い、エンゲル係数は小さくな