にしむら・ゆういち氏=1981年生まれ。神戸市出身。東京大法学部卒。専門は憲法学。同大大学院法学政治学研究科助手、首都大学東京都市教養学部法学系准教授などを経て、現在、北海道大大学院法学研究科准教授。著・訳書に『憲法学再入門』(有斐閣、共著)、『国家・公共の福祉・基本権』(弘文堂、共訳)がある。 象徴天皇制と政教分離日本国憲法は、憲法20条および89条において、国家の非宗教性ないし宗教的中立性を意味する政教分離原則を定めているところ、日本国憲法がかかる原則を定めた背景には、明治憲法下の日本においては「国家神道」に国教的な地位が与えられており、その結果として信教の自由が不完全にしか保障されていなかったという現実がある――最高裁による以上のような説明には、憲法学においても広い合意があると言えよう。 もっとも、村上重良の議論とも軌を一にするこのような「国家神道」理解には、周知のとおり、歴史学や宗