ブックマーク / www.ibunsha.co.jp (19)

  • 「だれがみずから自由を手放すだろうか」──2010年代と現在をめぐって/酒井隆史

    酒井隆史インタビュー 編集部より インタビューは、酒井隆史『賢人と奴隷とバカ』(亜紀書房、2023年)の刊行を機に『図書新聞』(2023年10月28日号 3612号)に掲載されたものである。インタビュー記事に、酒井隆史氏ご人に加筆・修正を加えていただき、ここに「完全版」を再録することとなった。 他社より刊行された書籍についてのインタビューをここに再録するのは、インタビューでも触れられる「エキストリーム・センター(過激中道)」や「1968年」に関する論集の企画を弊社で進めていること、またインタビューが(2023年のみならずこの十数年の諸問題の「核」を整理することで)、新たな年へ向かい「おなじことをくり返すこと」からの脱却の契機となることを期待してのことである。 今回も転載をご快諾くださった『図書新聞』編集部、そして書を世に問われた亜紀書房、とりわけ西山大悟氏に厚く御礼申し上げたい

    「だれがみずから自由を手放すだろうか」──2010年代と現在をめぐって/酒井隆史
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    wkatu 2024/02/05
    日本の言論空間における反知性主義批判が『広い意味での知的階層……(「文化産業」の担い手をはじめとして知的労働者を広範に包摂している)が率先しておこなっている階級差別とあまりにシンクロしてた』
  • 価値とプレイ/酒井隆史×藤倉達郎

    ───グレーバー『価値論』から『万物の黎明』へ 酒井隆史 × 藤倉達郎 編集部より 昨年末ついに刊行されたデヴィッド・グレーバー『価値論』をめぐって、これまでグレーバーの多くのを訳出してこられ、また先日刊行された自身の単著『賢人と奴隷とバカ』(亜紀書房)も話題沸騰中の酒井隆史氏と、書(『価値論』)の翻訳者で、シカゴ大学人類学科ではグレーバーと学友だった藤倉達郎氏に大いに語っていただいた。 なお、記事の初出は『図書新聞』2023年5月20日号である。同紙への掲載からまもないうちに転載の許可をくださった『図書新聞』編集部には厚く御礼申し上げたい。 はじめに酒井 ここ数年、『負債論』(酒井隆史監訳、以文社、2016年)や『ブルシット・ジョブ』(酒井隆史ほか訳、岩波書店、2020年)が日でも大きな話題となり、最新作の『万物の黎明』(原題:The Dawn of Everything、D・ウ

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    wkatu 2023/06/19
  • アブラヤシの影の中で/ソフィー・チャオ

    アブラヤシの影の中で──西パプア・マリンドにおける分散する諸存在論 ソフィー・チャオ 訳者解題 論考「アブラヤシの影の中で──西パプア・マリンドにおける分散する諸存在論」は、Sophie Chao. “ In the Shadow of the Palm: Dispersed Ontologies among Marind, West Papua”. Cultural Anthropology, 33(4):621-649.2018の日語訳である。 著者のソフィー・チャオ氏は、東南アジアにおける環境ガバナンス、気候変動、人権の交わりを研究する文化人類学者。現在、シドニー大学のDiscovery Early Career Researcher Award (DECRA)の研究員と人類学講師として勤めている。研究テーマは、開発人類学、環境人類学、政治生態学、マルチスピーシーズ人類学。環境政

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    wkatu 2023/05/09
  • 誰がパリ五輪に抵抗しているのか?[第5回]/佐々木夏子

    Qui luttent contre les Jeux Olympiques 2024 de Paris ? 監視資主義・テクノポリス(Technopolice) 近年のオリンピックは(無観客開催といった異常事態にでもならない限り)、開催国にとって「平時最大の治安維持作戦」となることが避けられなくなっている。 それ以前と以後でオリンピックの警備体制が大きく変わったマイルストーンとなっているのが、1972年ミュンヘン五輪1(注1)パレスチナの武装グループがイスラエル選手を人質にとり、ドイツの警察が救出に失敗した事件で知られる大会。最終的に人質11名、犯人グループ5名、警官1名が死亡という大惨事となった。1936年ベルリン五輪開催の立役者であった、アベリー・ブランデージIOC会長の「The Games must go on!」という絶叫も有名。と、2001年のアメリカ同時多発テロ事件だ。ミュ

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    wkatu 2023/03/20
    オリンピックで巨利を得る監視資本主義
  • 『価値論』書評:「私たちの夢の偽硬貨とはなにか?」/クリス・グレゴリー

    『価値論』の著者であるデヴィッド・グレーバーは2020年9月2日に急逝した。 グレーバーが所属していたロンドン・スクール・オブ・エコノミクス人類学部は、翌2021年秋、グレーバーを記念するセミナーシリーズを開催した。 基的に毎週金曜日、グレーバーの著作を一つ取り上げて、それについて2名の研究者が発表をした後、ディスカッションをする、という形式である。 ロンドン時間の午前11時頃に始まるセミナーはzoomでライブ配信された。セミナーの動画はのちにYouTubeで、発表原稿はFocaalというウェブサイトで公開された。 『価値論』の回を担当したのは、オランダのマルクス主義人類学者で元アナキストのドン・カルブ(Don Kalb)と、オーストラリアの経済人類学者クリス・グレゴリーである。 グレーバーは『価値論』第2章で、グレゴリーによるメラネシアにおける贈与交換についての分析を、ネオ・モース派の

    『価値論』書評:「私たちの夢の偽硬貨とはなにか?」/クリス・グレゴリー
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    wkatu 2023/03/04
  • 人間狩り・奴隷制・国家なき社会[第1回]/酒井隆史×中村隆之×平田周

    酒井隆史 × 中村隆之 × 平田周 第1回 「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」 編集部より 記事は2021年11月5日、下北沢の書店「屋B&B」で行われたオンライン・イベント「わたしたちは「人間」であって、人間ではない?」を再構成したものである。 半年以上前に開催されたイベントをここに再録するのは、この5月6日に、この記事内でも大きく取り上げられる思想史家・グレゴワール・シャマユーの『統治不能社会――権威主義的ネオリベラル主義の系譜学 』(信友健志訳、明石書店)という現代政治理論におけるひとつの達成とも言える書物が翻訳・出版されたことを記念する意味も込めている。 再録は全3回に分け、今回は第1回「グレゴワール・シャマユー/アンチ・フーコーのフーコー主義者」を掲載、以降、第2回「オレリア・ミシェル/奴隷制とレイシズム」、第3回「ピエール・クラストル/国家をも

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    wkatu 2022/06/28
    『フーコー主義者は、警察や権力への批判を古い、と捉える傾向が強かった。ところが黒人たちはずっとそんな悠長なことを言っているわけにはいかなかったのです。実際に殺されまくってきたわけですから。』
  • ふたたび都市を争点とするために 3/林凌×平田周×仙波希望

    林 凌 × 平田周 × 仙波希望 Progress in Human Geography(「千のCEO」の掲載号) プラネタリー・アーバニゼーションと関係的地理学 仙波 さて、日2人目のゲストとして林凌(はやし・りょう)さんをお招きします。まずは最初のゲストである北川さんの議論と接続する意図を込め、書に掲載された北川さんの論文からの一節を引用させていただきます。 「新型コロナウイルスの拡大のためにロックダウンがなされ、イタリアの路上にほとんど人がいなくなったとしても、ライダーたちは街を走り抜け、労働に従事していた」 [北川眞也「惑星都市化、インフラストラクチャー、ロジスティクスをめぐる11の地理的断章」『惑星都市理論』p.139]。 パンデミック以降、エッセンシャル・ワーカーという言葉が突然注目されました。医療従事者とともにインフラや物流にかかわる人びともその内に数えられたわけですが、

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    wkatu 2021/08/17
    最新経営学がドゥルーズ&ガタリの哲学を援用したことで何が起きたか
  • 祖父の時代のはしか/カルロス・ファウスト,パウロ・ブル

    カルロス・ファウスト,パウロ・ブル (近藤 宏 訳)Photo by Carlos Fausto/Arquivo Pessoal 訳者まえがき(解説) ここに訳出したのは、ブラジル出身の人類学者カルロス・ファウスト(国立博物館社会人類学大学院教授)が、2020年のCOVID-19の流行を受けて、オンラインジャーナルサイトNexoに不定期に発表した一連のエッセイである(三番目のエッセイは、ファウストの所属する大学院で学ぶ院生のパウロ・ブルとの共著となっている)。 ファウストは、ヴィヴェイロス・デ・カストロを指導教官に、パラカーニャというアマゾニア先住民についての人類学的研究で学位をえると、その後には、クイクロという先住民の下でおもに儀礼と芸術に関わるリサーチプロジェクトに着手している。ほかにも、アマゾニア地域の考古学者と共同で、先史時代や植民地期の過去と現在を貫くアマゾニアの社会論理の分析を

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    wkatu 2021/03/14
  • デヴィッド・グレーバーと東アジア/日本と韓国の友人からの追悼

    追悼 デヴィッド・グレーバー David Graeber and those of us in Japan and Korea 編集部より 追記:当初、英語版のみ掲載していた韓国の方々による追悼文であるが、日語訳が完了したため(原文のハングルとともに)追加掲載をする運びとなった。非常に胸に迫る4の追悼文(韓国でのグレーバー「読み」の早さも窺える)をぜひお目通しいだければ幸いである。 なお、これら追悼文は、遅れての掲載となったため、しばらくの間「はじめに」の後に4続けて掲載させていただくこととした。 また、日語では「デヴィッド」として記載されることの多い、グレーバーのファースト・ネームであるが、ハングルの表音表記に合わせ、今回の訳文では「デイヴィッド」で統一させていただいたことをお断りしておく。 韓国語からの日語訳は今政肇氏によるもので、英語訳は今政氏とジェフ・ラザール氏によるもの

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    wkatu 2020/11/13
  • コロナ後の世界と「ブルシット・エコノミー」/デヴィッド・グレーバー

    コロナ後の世界と「ブルシット・エコノミー」(片岡大右訳) 訳者まえがき 以下に読まれるのは、デヴィッド・グレーバーがフランスの日刊紙『リベラシオン』の2020年5月28日紙面に寄せた論考(「David Graeber : vers une « bullshit economy »」)を、著者自身が公開した英語原文に基づき翻訳したものである。読みやすさを考慮して、段落分けは仏語版を参照しつつさらに増やし、見出しは独自に補った。 人類学者はこれまでも、コロナ禍のただなかでの状況的発言を散発的に行ってきた(「魔神は瓶に戻せない」)。談話ではなく書き下ろしの原稿としては初めてのものとなる稿は、それらと同じくおおむね『ブルシット・ジョブ』(原著2018年、日語訳は岩波書店より2020年7月刊行予定)での論争的な問題提起の延長線上にあるけれども、「経済」というコンセプトの歴史を振り返り、その自明性

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    wkatu 2020/11/02
  • 『パラサイト』はなぜ社会的不平等を描いた映画ではないのか/D・グレーバー&N・ドゥブロフスキー

    『パラサイト』はなぜ社会的不平等を描いた映画ではないのか ──神の建築とクレイジーキルト デヴィッド・グレーバー&ニカ・ドゥブロフスキー (片岡大右訳) 『パラサイト 半地下の家族』Blu-ray&DVD発売中/発売・販売元:バップ Ⓒ2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED 批判、構造、希望──訳者まえがき 以下に読まれるのは、デヴィッド・グレーバーとニカ・ドゥブロフスキーによる映画『パラサイト』(ポン・ジュノ監督、2019年)のレヴューの日語訳である。段落分けは訳者と編集部の判断で原文よりも増やしている。タイトル(原文は無題)と見出しは訳者による。 ニューヨークを拠点とする文芸誌『n+1』への寄稿として執筆された稿は、コロナ禍の余波で掲載の目処が立たないために、著者らによって「みんなの人類学」のページ中に、P

    『パラサイト』はなぜ社会的不平等を描いた映画ではないのか/D・グレーバー&N・ドゥブロフスキー
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    wkatu 2020/08/05
    『登場人物の非常に多くがまったく断固として独自の存在となって、彼らそれぞれが少なくとも潜在的にはただ自分だけでひとつの宇宙を体現している時に、批判的な質が生じる』
  • マルクスの反植民地主義のルーツについて/ティエリー・ドラポー

    マルクスの反植民地主義のルーツについて(大畑 凜、森田 和樹 訳) 稿は、Jacobin誌のWeb版で2019年1月に掲載されたティエリー・ドラポー(Thierry Drapeau)による記事 “The Roots of Karl Marx’s Anti-Colonialism” の日語訳である。この記事はその後、“Marx and the Chartist” と改題されて、Tribuneにも転載されている。 マルクスのヨーロッパ中心主義が批判されて久しいが、しかし他方で、マルクスが当時の左派としては異例の植民地主義批判の視点をもちえた点も評価されている。 ここにわたしたちが訳出した短いエッセイは、そのマルクスの異例性が、決して「偉大なる」マルクスの頭脳から飛び出してきたわけではないことを教えてくれる。 すなわち、マルクスの後年のプロジェクトを長期にわたって規定する──そして、わたした

    マルクスの反植民地主義のルーツについて/ティエリー・ドラポー
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    wkatu 2020/07/06
  • 「魔神は瓶に戻せない」D・グレーバー、コロナ禍を語る/片岡大右

    「魔神は瓶に戻せない」──デヴィッド・グレーバー、コロナ禍を語る 「ほんとうに自由な社会」へ デヴィッド・グレーバーは新型コロナ危機について、何を語っているのか? 稿執筆現在、メディアを通してなされた最新の発言は、フランス発の動画ニュースサイト「ブリュット」の米国版に掲載されたインタヴューだ(2020年4月29日)。「Brut Japan」が翻訳字幕を付けて公開しているので、日語世界のわたしたちはそれを見ることができる。 コロナ危機以降、医療、農業、小売など生活に必要不可欠な業種を「エッセンシャル・ワーカー」として見直す動きが広まっている。人類学者デヴィッド・グレーバーは、経済とは社会の一員である我々がお互いをケアし、ともに生存するための手段であるべきと主張する。 pic.twitter.com/aBUY5CzVpo — Brut Japan (@brutjapan) May 1, 2

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    wkatu 2020/07/06
  • 死の党の台頭/ピーター・フレイズ

    死の党[Party of Death]の台頭(酒井隆史 訳) 以下に訳出したのは、『ジャコバン』誌のウェブ版に2020年3月24日づけでアップされた、社会学者ピーター・フレイズによるCOVID-19パンデミックについての論考である。 『ジャコバン』誌は、ポスト2011年(オキュパイ運動以降)の、いわば「新世代」の理論的・政治的傾向を代表する(多数あるなかのあくまでひとつの)雑誌であり、リアルでもオンラインでも質の高い記事をつぎつぎと公表している。「サンダース現象」は、このような多数の知的発信によってひそかに支えられているといえよう。ピーター・フレイズも新世代の社会学者といってよい。 かれの著作『四つの未来──資主義以後の世界の諸ヴィジョン』(Peter Frase, Four Futures: Visions of the World After Capitalism, Verso, 2

    死の党の台頭/ピーター・フレイズ
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    wkatu 2020/04/09
    『死の党にとって、パンデミックそれ自体が経済的に有益なものにみえはじめている。とともに、パンデミックと戦うために必要な対策が、病よりもなお悪いとみなされる可能性もある。』
  • 魔女の物語/シルヴィア・フェデリーチ

    「魔女の物語──シルヴィア・フェデリーチへのインタビュー」(小田原琳、後藤あゆみ 訳) イントロダクション イタリア出身のフェミニスト、シルヴィア・フェデリーチは、その著書『キャリバンと魔女──資主義に抗する女性の身体』(以文社、2017年)のなかで、魔女殺害を、女性を飼い慣らし、労働力の再生産をまったく報酬のない強制労働として女性に課す、資主義システムの基礎として考察している。この再生産労働の発展の様相に、フェデリーチは女性運動にとっての闘いの中心を据えているのである。 これはおとぎ話ではないし、魔女にだけ関わるのでもない。魔女は、他の女性たち、魔女と密接に関わっているキャラクターたちへと敷衍される。異端者、治療者、助産師、反抗的な、一人で生きようとする女、オービア(秘密の魔術)を操って、主人のべ物に毒を入れ、奴隷たちを反乱へと駆り立てる女。これらの女性たちを、資主義はその起源

    魔女の物語/シルヴィア・フェデリーチ
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    wkatu 2019/12/16
    魔女狩りの『告発の不確かさ……が含意したのは、この告発が、疑惑を生み出すことを目的として、日常生活のもっともありふれた側面をも巻き込み、あらゆる種類の抵抗を罰するために使用できた』
  • 後期新自由主義/平田周

    後期新自由主義──酒井隆史『完全版:自由論』の刊行を契機に はじめに 2001年に刊行された『自由論――現在性の系譜学』(酒井隆史・著)は、それまでそのタームすらほとんど知られていなかった「ネオリベラリズム(新自由主義)」によって規定された現在を解読し、そのオルタナティブを希求した先駆的な書物であり、発売から20年近くの時が経過した現在においても、文化社会学、都市研究、社会思想史など複数の学問領域における重要な参照先でありつづけている。 参照されるのはアカデミズムの領域だけではない。当時の私のように、2003年のイラク戦争反対を訴え渋谷などで行われたサウンド・デモに参加するかたわら、このを手に取った人も多いだろう。それゆえ、この労作が2019年8月に大幅な増補をともない、新たに文庫版として再刊されたことは大変喜ばしい。 以下の小論は、今後も議論されつづけるであろうこの著作に関する一つの議

    後期新自由主義/平田周
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    wkatu 2019/12/16
    『テクノロジーによって…もたらされた多幸症的な全能感が、自らを保護し「私たち」の紐帯にもなってきた社会権の…消滅と結びつくのであれば、これほどおぞましくも滑稽な技術的成果を示すものも歴史上類を見ない』
  • 交通誘導員と物乞いするおばあさん/平井玄

    1)2つの徴候———よく顔を合わせるフリーター仲間の一人に、仕事がない時期に備えて工事現場の交通誘導をする資格を持っている人がいる。まあ(交通誘導警備業務)2級検定なら、3〜4日の講習を受けて実技訓練をする程度だが、ネットでは底辺と呼ばれる職種だ。それでも人が流れ込んでいる。ところが受験料が3万円以上と高かった。 「日給8000円で月何日もない。ヤバい現場じゃ交通費なしで昼メシ代も引かれるのに!」と彼はしきりに嘆くのである。 2018年11月にYouTubeからまず目に飛び込んできたのは、パリから遠く離れた田舎町の道ばたに集まった人々が着込む蛍光色のベストである。この時まず頭に浮かんだ絵はこの友人の姿である。誘導員は工事現場では必ず光るベストを着せられるからだ。血管3か所にステントを入れ、そのうえ白内障を患っている。 板橋生まれで今も古びた実家に一人住む65歳。若いころはブラックサバスのフ

    交通誘導員と物乞いするおばあさん/平井玄
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    wkatu 2019/09/26
  • ピープルのいないところにポピュリズムあり?/酒井隆史

    ピープルのいないところにポピュリズムあり?——「健全な病理」としてのポピュリズム 1, あいまいな「ポピュリズム」 ポピュリズムという言葉から、ここ日ではどのようなイメージが浮かぶでしょうか? メディアの劇場政治を通して単純なフレーズで人気取りをおこなう政治家と、それに踊らされる愚かな大衆、といったところが、一般的通念でしょうか。 おそらく、現代の世界の政治の一番の特徴はなにか、と問われるならば、まっさきにあがる答えのひとつが、ポピュリズムであるとおもいます。現代が、ポピュリズムの時代であることはまちがいないのです。 しかし、この言葉は、少し前まで、研究者にはなじみのあるものでしたが、日語で一般的に流布していたとはいいがたいものでした。ここにはひとつ興味ぶかい示唆があるとおもいます。つまり、おそらく、日は少なくとも戦後半世紀ほどのあいだは、ポピュリズムを経験していないのです。それが変

    ピープルのいないところにポピュリズムあり?/酒井隆史
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    wkatu 2019/09/26
  • キャリバンと魔女 資本主義に抗する女性の身体

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    wkatu 2017/02/03
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