Webライターの木下です。 岐阜大学地域科学部教授の竹内章郎さんの専門は、社会哲学・生命倫理・障害者論です。『「弱者」の哲学』『いのちの平等論』などの著作があり、現代社会の差別や排除の構造について哲学的な考察を行っています。今回の事件によってにわかに取り上げられることが多くなった「優生思想」について、専門家としての見解をおうかがいしました。竹内さんは、ダウン症の娘さんの父親であり、岐阜県内で共同作業所やグループホームを運営する社会福祉法人「いぶき福祉会」の設立にもかかわってこられました。 木下:今回の事件をどんな形で知って、何を感じられましたか。 竹内:事件は、早朝のテレビニュースで見ました。最初は2001年に大阪教育大学附属池田小学校で起きたような突発的な事件かなと思いましたが、衆議院議長宛の手紙に関する報道を見て、社会の底流にある優生思想を表面化させる、「いまの時代に起こるべくして、起