今となってはどうでもいいことのうちの一つだが、今ひとつ消化しきれないことがある。 いつ頃からか、母と親しくしている男性が家に来るようになっていた。 母は数年前に離婚をしていたので、新しい男性が出来たとしてそれは不思議ではなかった。 一緒に食事にも行ったことあるし、旅行に行ったこともあった。 ある日、母から「もんちゃん。みんなでおいしいご飯食べに行こか。」と言われた。 私が着替え始めると、「こっちの服着て行き」など、普段は服装に関して口を挟まない母が、その時に限って指定してきた。 それは滅多に着ることのない、ちょっとオシャレなブランド物の服だった。 こころなしか母も気合いが入っている。 「なんでこれ着るの?」 「えーとこいくねん」 そんな会話だった気がする。 着慣れない服に身を包みながら車に乗り、たどり着いたのは地元で有名なホテル。 あれよあれよという間に大きな長机が1つ置かれた宴会場という