友人は金持ちだった。父親が医者で金に不自由したことはなかったらしい。だが、そんな父親には長らく愛人がいたそうで、彼女の母親は精神的に微妙に病んでいた。しかも彼女の父親は愛人宅の家庭を選んだらしく、彼女が高校を卒業すると同時に離婚した。そんなふうにして友人は貧乏になった。彼女の母親はお嬢様だったらしいが、よくそんな変なタイミングで離婚を決意したものだと思う。いやお嬢様だったから離婚に踏み切れなかったのか?ともあれ、成金と金持ちが交差するときに昼ドラは生まれるらしいと自分は十八で悟った。 さて、そんな友人が大学で知り合ったのが、金持ちを憎む貧乏人、医学生のKだ。このKは精神的に向上心のない者はばかだ、とかいうことはもちろん言うが求道者というよりはビッグマウスである。なお今現在も自殺はしていない。九州の田舎から東京に出てきた、地域の期待の星だったが、金はなくて奨学金と授業料免除とバイトに勤しんで