2020年01月31日 東京弁護士会 会長 篠塚 力 東京地方検察庁の検察官らは、本年1月29日、被告人カルロス・ゴーン氏の元弁護人らの法律事務所に対し、元弁護人らが押収拒絶権を行使して捜索を拒否する意思を明示しているにもかかわらず、法律事務所に立ち入って捜索を強行した。その際、検察官らは施錠中のドアの鍵を解錠して法律事務所に侵入したうえ、事務所内の会議室の鍵を破壊する等の実力を行使したほか、事件記録等が置かれている弁護士らの執務室内をビデオ撮影し、元弁護人らが繰り返し退去を求めたにもかかわらず、長時間にわたり事務所から立ち退かなかった。 およそ弁護士は、業務上委託を受けたため保管し又は所持する物で他人の秘密に関するものについては、権利の濫用と認められる場合等を除き、押収を拒絶することができる(刑事訴訟法第105条)。そして、弁護士によって押収拒絶権が行使された場合には、対象物を押収するた