毎月勤労統計の不適切調査問題を巡り、厚生労働省は30日の野党合同ヒアリングで、18年1~11月の実質賃金の伸び率が大半でマイナスになるとの野党の試算について「同じような数字が出る」との見解を示した。この試算は1年前も調査対象となった事業所と比べた参考値。厚労省は名目賃金の参考値は公表したが、実質賃金
[Bradford DeLong, “The extremely wise Randall Munroe…,” Grasping Reality with Both Hands, August 9, 2018] ランドール・マンローが地理的な統計情報の視覚表示についてとても賢いことを言ってる:Randall Munroe: xkcd: 2016 Election Map: 「統計地図(カルトグラム;人口でデフォルメした地図)の発想は好きだけど,実際にやると二兎を追う者は一兎をも得ずになってしまう場合が多い――地理を示すのも人数を数えるのも両方うまくいかずじまいになってしまう.なにより,例のあれ,えーとクロロ…クロロフ…クロロペト…地図を色分けする際の問題もそっくりそのまま残ってしまう. ※「クロロ…」の箇所は “Choropleth”(階級区分図)を言おうとして出てこなかったという小芝居.
Lawrence J. Christiano(ノースウエスタン大)、Martin S. Eichenbaum(同)、Mathias Trabandt(ベルリン自由大)が「On DSGE Models」という簡潔なタイトルのNBER論文を上げている。ungated版を見てみると、DSGEを擁護する論文になっており、DSGE批判派の中でも特にここで紹介したスティグリッツに焦点を当てて反論している。以下では、そのスティグリッツへの反論部分を拾い出して箇条書きでまとめてみる。 スティグリッツは、危機前のDSGEモデルは金融摩擦、流動性制約下の消費者、および住宅部門を許容しなかった、と主張したが、それは正しくなく、反例が存在する。 スティグリッツ(および彼が援用したKorinek*1)は、DSGEは時系列データを扱う際に、HPフィルタなどを使って頻度が景気循環レベルの定常的変動を取り出そうとするが、
[Tyler Cowen, “On the so-called “beauty premium,” Marginal Revolution, March 13, 2018] 非常に魅力のとぼしい回答者は,魅力のとぼしい回答者にくらべてつねに有意に収入が上回っており,ときに,平均以上の容姿の回答者や魅力的な回答者を上回っている場合もある.重回帰分析では美人プレミアムにごく弱い根拠しかないことが示され,健康・知性・ビッグファイブ性格因子といった個人差を統計的に統制すると完全に消失した. (…)美人プレミアムとぶさいくペナルティに関する過去の発見は,もしかすると次の事実に起因しているのかもしれない:1) 「非常に魅力にとぼしい」カテゴリと「魅力にとぼしい」カテゴリは,通例,「平均未満」カテゴリにまとめられている; 2) 健康・知性(教育ではなく)・ビッグファイブ性格因子が統制されていない.容姿に
失業率が急低下。インフレ率はどうか 3月2日に総務省が発表した1月の労働力調査では、完全失業率が2.4%と、2017年12月の2.7%から急低下した(失業率が前月から0.3%ポイントも低下するというのは滅多に起きるものではない)。 このところ、いわゆる「リフレ派界隈」では、多くの人が口をそろえたように、「日本のNAIRU(インフレ率を加速させない最低の失業率の水準)は2%台半ば程度」と言っていたので、「リフレ派信者」の中には、「いよいよ日銀が目標とする2%に向けてインフレ率が本格的に上昇し始める局面が来た」と喜んでいる方々もかなりいらっしゃるのではなかろうか。 ちなみに筆者は、やや定義は異なるが、「均衡状態(経済の需給ギャップがゼロ)」での失業率(均衡失業率)は2.1%と試算している(ご関心がある方は、2017年5月25日付の当コラム『日本経済は本当に「完全雇用」に近づいているのか?』をご
昨日紹介したディローのエントリでは、大平穏期を「ショックの欠落という一時的な幸運に過ぎなかった」と評しているが、その際に2007年のECB Working Paper「The 'Great Moderation' in the United Kingdom」にリンクしている。著者は当時ECBのLuca Benati(現・ベルン大*1)。以下はその要旨。 We use a Bayesian time-varying parameters structural VAR with stochastic volatility for GDP deflator inflation, real GDP growth, a 3-month nominal rate, and the rate of growth of M4 to investigate the underlying causes of
【速報】“私人逮捕系ユーチューバー”「煉獄コロアキ」本名・杉田一明容疑者(40)を名誉棄損容疑で逮捕 女性にチケット転売の言いがかりつけ動画投稿
ときわ総合サービス研究所さんもツイートされているが、小生がフィッシャー式逆さ眼鏡派と呼ぶ経済学者の一人であるコロンビア大のMartín Uribeが表題のNBER論文を上げている(原題は「The Neo-Fisher Effect in the United States and Japan」)。 以下はその要旨。 I investigate the effects of an increase in the nominal interest rate on inflation and output in the United States and Japan during the postwar period. I postulate a structural autoregressive model that allows for transitory and permanent n
[Scott Sumner, “I don’t buy the Economist for investment tips,” TheMoneyIllusion, October 31, 2017] 英『エコノミスト』誌は世界で最良の雑誌だと思っている.だからこそ,こんなにしょっちゅう引き合いにだしてるわけだ.最近,2回ほど,『エコノミスト』で信条ベースの推論の事例を見かけた.まず,最近の日本の景気回復について書かれた記事: 日本経済のひどい失調はあまりに長引いてしまって,回復のきざしを探そうとすることもやめてしまった人が多い.それでも,じっくりみてみると,たしかに回復のきざしはある.何年も金融・財政の大規模な刺激策を続けてきたことで,いくらかの効果がもたらされているようだ.失業率は 3% を下回っているーーこの23年でもっとも低くなっている.それに,賃金も上昇しつつある.少なくとも,非正
ジョセフ・ヒース「なぜ我々はかくも怒り狂っているのか? 保守政権に怒る人々と、保守政権に怒る人々に怒る人々」(2015年10月10日) Why u so mad? Posted by Joseph Heath on October 10, 2015 | Canada, elections 〔訳注:本エントリは、スティーブン・ハーパーが首相を務めるカナダ保守党が政権与党であった、2015年のカナダの下院の総選挙直前に書かれたものである。〕 先日、ブログの共同執筆者達によって書かれた〔保守党の選挙戦術を批判する〕公開書簡に関して、私はなんとも複雑な感情を抱えている。(結局、私も署名したわけだが…)。スティーブン・ハーパーを嫌う人は目立って沢山いるわけだが、「スティーブン・ハーパーを嫌う人」を嫌う人もまた沢山いる。なので、私が今に至るも確信しているのが、レックス・マーフィー [1]訳注:カナダの
日銀が2日発表した短観=企業短期経済観測調査では、企業の人手不足感がおよそ25年半ぶりの水準まで高まっていることがわかり、多くの企業で働き手の確保が深刻化している実態が浮き彫りになりました。 今回の短観では、企業の規模や業種を問わず、軒並みマイナス幅が大きくなり、大企業が前回より2ポイント低下してマイナス18ポイント、中小企業も5ポイント低下してマイナス32ポイントとなりました。 この結果、全体では前回より3ポイント低いマイナス28ポイントとなり、企業の人手不足感が平成4年2月調査のマイナス31ポイント以来、およそ25年半ぶりの水準まで高まっていることがわかりました。 一方、併せて調査した今年度の設備投資額は、昨年度に比べて、製造業は11.7%、非製造業は0.8%、それぞれ増やすとしています。 人手不足が深刻化する中、企業の間では、工場の生産工程や物流拠点での仕分け作業を自動化するといった
7月22日放送予定のNHKスペシャル「AIに聞いてみた,どうすんのよ!?ニッポン」が話題。すでに一部内容が公開されており、「40代ひとり暮らし」にフォーカスしている。 「どうしたら心配のない老後を迎えられるの?」「何をしたら、子育ての環境はよくなるの?」「幸せに暮らすにはどうしたらいいの?」「どうしたらニッポンの未来は明るくなるの?」といった、私たちが感じている疑問や難問。その解決策のヒントを、AI(人工知能)が導きだし、従来にはない「一手」を考えていこうという新たなシリーズのプロローグ。 NHKでは、人口動態や介護、医療、格差、消費など様々な社会を映し出す5000を超える公共のデータを入手。「風が吹けば桶屋が儲かる」といった具合に、複雑に、間接的に影響し合っているそれぞれのデータの関係性をAIが解析し、日本の社会構造を詳らかに分析した。 その結果、日本を変えるカギを握っているのが、高齢者
日本銀行政策委員会審議委員 原田 泰 2017年6月1日 全文 [PDF 666KB] 図表 [PDF 360KB] はじめに おはようございます。日本銀行の原田です。 本日はお忙しい中、岐阜県を代表する皆様にお集まり頂き、懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。皆様の前でお話しできるのを大変光栄に思います。また、皆様には、日頃から私どもの名古屋支店をはじめ、日本銀行各部署の業務運営に多大なご協力を頂いており、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。 日本銀行は2%のインフレ目標達成を目指して2013年4月から量的・質的金融緩和政策を行い、さらにマイナス金利、イールドカーブコントロール政策などと様々な政策を導入しています。 その結果、経済は好転しています。内閣府の景気基準日付によれば、景気の改善は、2012年11月の景気の谷以来、この6月まで連続55か月続いています。また、日本銀
安倍晋三首相の在任日数が28日、第1次内閣と合わせて1981日となり、小泉純一郎首相を抜いて戦後第3位の長期政権になった。朝日新聞の世論調査では5割前後の支持率が続く。「安倍1強」と言われる政権は、どのような支持の上に成り立っているのか。 朝日新聞が24~25日に実施した緊急世論調査でも内閣支持率は47%になり、ほとんど動かなかった。相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計(かけ)学園の問題が噴出しても大きく崩れていない。 強さの背景には支持層の広がりがある。 2012年12月に政権に返り咲いた第2次以降の年代別支持率(平均)をみると、20代が最も高い。30代以降も若いほど高く、60代にかけて下がる「右肩下がり型」になっている。 小泉内閣以降の集計で、20代が最も高い内閣は初めてだ。安倍内閣も第1次では20代が最も低い。高齢になるほど高い「右肩上がり型」で、今とは対照的だ。
[Scott Sumner, “Language and unemployment,” Money Illusion, May 2, 2017] 地図はぼくの好物だ.先日,ランディ・オルセンがヨーロッパの失業を示すおもしろい地図にリンクを貼っていた: この地図を見る前から,フランスよりドイツの方が失業率が低いのは知っていた.そしてやっぱり,失業率は両国の境界で劇的な変化を見せている――ライン川流域がそれだ. きっと,ドイツの失業率の方が低いのは,労働市場規制がすぐれていることの反映なんだろうと想定していた.ところが,このグラフはそれと別の相違点を示唆している――言語のちがいもあるようだ.ゲルマン系言語圏はロマンス系言語圏よりも失業率が低いと仮定してみよう.言語と政府政策のどちらがより重要なのか検証するにはどんな手があるだろう? ひとつには,複数言語が話されている国がある点に着目するアプロー
[Tyler Cowen, “Number of -ly adverbs per 10,000 words,” Marginal Revolution, May 17, 2017] ヘミングウェイ: 80回 トウェイン: 81回 メルヴィル: 126回 オースティン: 128回 J.K.ローリング: 140回 E.L.ジェイムズ: 155回 ネタ元は,ベン・ブラットのおもしろい新著『ナボコフのお気に入り単語は「藤色」』.ヘミングウェイ作品で -ly で終わる副詞の生起率がいちばん高いのは死後出版となったTrue at Fist Light で,ヘミングウェイ作品で最低の駄作と考えられている.同じパターンはフォークナーやスタインベックにも見られる.つまり,いちばん評価の高い作品は -ly 副詞の生起率が相対的に低い.調査された著名作家たちのなかでは,D.H.ロレンスがこの規則性のいちばん明白
と題したエントリ(原題は「The Rich Aren't Getting Richer」)でマンキューが、Fatih Guvenen(ミネソタ大)とGreg Kaplan(シカゴ大)の論文「Top Income Inequality in the 21st Century: Some Cautionary Notes」の一節を引用している。 以下はその引用部。 Since 2000, different measures of top income inequality have exhibited very different trends. Top income shares based on measures of total income show a continued rise, whereas top income shares based on wage and salar
いつも応援ありがとうございますm(_ _)m 日刊SPA!にて記事を連載しています。 よろしくお願いします。 約半年ぶりの更新ですね。お久しぶりです。 なんで休んでいたのか?というと、単純に昨年、一昨年と色々あって疲れたというのが正直なところです。 色々というのは、ハーバービジネスオンライン、日刊SPAへの記事の投稿と、チャンネルくららへの出演、あとは仕事が様変わりして忙しくなったというところでしょうか。 おかげで平日は仕事、帰ってもブログ書いたり、記事を書いたり、土日はチャンネルくららの収録と資料作成、そのネタ集めをする・・・と、すっかり家族サービスがおざなりになってしまいました・・・ それでまあ、子供たちのストレスが爆発してしまいまして、なんかいろいろと大変な事態に(^_^;) 今では落ち着いていますけどね。 よくよく考えてみると、仕事と家庭だけでも両立が難しいのに、それにさらに執筆ま
金曜プレミアム・池上彰緊急スペシャル https://t.co/Vb4jiYsTjc 前回 | 2016年12月16日(金) 19:57~22:52 放送 格差はなぜ世界からなくならないのか▽貧しい人がますます貧しく...深刻データ語る日本の格差 pic.twitter.com/g9AFUJHW6Y — 不破雷蔵(懐中時計) (@Fuwarin) 2016年12月17日 12月16日にフジテレビ系列で放送されたという「金曜プレミアム・池上彰緊急スペシャル 格差はなぜ世界からなくならないのか▽貧しい人がますます貧しく...深刻データ語る日本の格差」という番組で使われた、日米の所得に絡んだグラフ。そのものの画像や映像は権利関係があるので(引用の領域をこえるとの判断が成される可能性はある)直接の提示は止めておくけれど、どうも印象操作的なグラフの使われ方がされたとの指摘が多数挙がっている。 それを
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く