[東京 30日] - 日本経済は4半世紀ぶりの人手不足となった。失業率は2.8%(4月)まで下がり、有効求人倍率は1.48倍(同)といずれも1990年代初頭までさかのぼる水準だ。 ここまで来ると賃金が上がり、消費の増加を伴ってインフレ率が上がっても良さそうだが、消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比0.3%(4月)にすぎず、低インフレから日本は抜け出せていない。
日本銀行政策委員会審議委員 原田 泰 2017年6月1日 全文 [PDF 666KB] 図表 [PDF 360KB] はじめに おはようございます。日本銀行の原田です。 本日はお忙しい中、岐阜県を代表する皆様にお集まり頂き、懇談の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。皆様の前でお話しできるのを大変光栄に思います。また、皆様には、日頃から私どもの名古屋支店をはじめ、日本銀行各部署の業務運営に多大なご協力を頂いており、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。 日本銀行は2%のインフレ目標達成を目指して2013年4月から量的・質的金融緩和政策を行い、さらにマイナス金利、イールドカーブコントロール政策などと様々な政策を導入しています。 その結果、経済は好転しています。内閣府の景気基準日付によれば、景気の改善は、2012年11月の景気の谷以来、この6月まで連続55か月続いています。また、日本銀
ツイッターなどで、科学者はどのように不完全なエビデンスを国民に伝えるべきかという議論が盛り上がっています。そのきっかけの一つになったのは、こちらの私のツイートだと思います。 大事なことなので何度でも言います。35分に1人が他人のたばこの煙で亡くなっています。今回のチャンスを逃したら、今後10~20年はチャンスは来ないと思っています。国民の声は必ず届きます、今こそ声を上げましょう。#たばこ煙害死なくそう https://t.co/jOXevFxkPe — 津川友介 (@yusuke_tsugawa) 2017年5月24日 この「35分に1人」という数字は、日本で年間15,000人の人が受動喫煙によって亡くなっているという研究結果から来ています。これに対して、以下のように様々なコメントを頂きました。結論から言うと、この15,000人という数字はそれほど科学的根拠の強いものではないのではないか、
[Scott Sumner, “Rising NGDP in Japan equals jobs, jobs, and more jobs,” MoneyIllusion, May 18, 2017] 今度でてきた日本の労働市場データは見どころ満載だ.最新データを見ると,失業率は 2.8% にまで下がっている.この数十年で最低の率だ: アメリカのデータに関して主張されているのとちがって,これはたんに人々が就労をあきらめているためだけではない.まずアメリカと対比される点として,人口に占める就労者の割合がかつてないほど高い水準に急上昇している.下記は,マット・オブライエンの『ワシントンポスト』記事からの引用だ: 個別事例の証拠も,労働市場の需要がきわめて強くなっているのを示唆している: 東京ではどこの店舗もレストランも,「求人」のポスターをかかげているし,24時間営業をやめて労働力の節約をはじ
安倍晋三首相の在任日数が28日、第1次内閣と合わせて1981日となり、小泉純一郎首相を抜いて戦後第3位の長期政権になった。朝日新聞の世論調査では5割前後の支持率が続く。「安倍1強」と言われる政権は、どのような支持の上に成り立っているのか。 朝日新聞が24~25日に実施した緊急世論調査でも内閣支持率は47%になり、ほとんど動かなかった。相次ぐ閣僚の失言、森友学園や加計(かけ)学園の問題が噴出しても大きく崩れていない。 強さの背景には支持層の広がりがある。 2012年12月に政権に返り咲いた第2次以降の年代別支持率(平均)をみると、20代が最も高い。30代以降も若いほど高く、60代にかけて下がる「右肩下がり型」になっている。 小泉内閣以降の集計で、20代が最も高い内閣は初めてだ。安倍内閣も第1次では20代が最も低い。高齢になるほど高い「右肩上がり型」で、今とは対照的だ。
本日、日銀から4月の企業物価 (PPI)が公表されています。ヘッドラインとなる国内物価の前年同月比上昇率は+2.1%を記録しています。まず、日経新聞のサイトから記事を引用すると以下の通りです。 4月の企業物価指数、前年比2.1%上昇 3年3カ月ぶりの上昇率 日銀が15日に発表した4月の国内企業物価指数(2015年平均=100)は98.4で、前年同月比で2.1%上昇した。前年比での上昇は4カ月連続で、上昇率は前月(1.4%)から拡大した。上昇率は消費増税の影響を除くと2014年1月(2.5%)以来3年3カ月ぶりの大きさだ。市況上昇を背景に鉄鋼価格に値上がりが目立ったほか、原油先物相場の上昇を受けガソリンや軽油も値上がりした。ただ最近はガソリン価格などが伸び悩んでおり、前月比では0.2%の上昇にとどまった。 円ベースの輸出物価は前年比で3.0%上昇したが、前月比では1.9%下げた。輸入物価も前
1-3月期GDPでは、ついに消費主体の経済成長が実現する。消費は、今期は高めの伸びが期待でき、ここ3期を均した速度は年率1.6%となろう。それは、消費増税で大打撃を与える前の2012~13年の伸びと同レベルであり、日本経済の復調を意味する。失われた10期を超え、16兆円もの大損害を残しつつも、成長は帰ってきた。今後は、雇用数の増加に見合う年率2.0%成長へ更に加速できるかが焦点となる。 ……… 3月の商業動態の小売業は前月比+0.2であり、CPIの財が-0.3であったことを踏まえると、実質では、これを上回る伸びとなろう。したがって、3月の日銀・消費活動指数は、若干のプラスが見込まれ、1-3月期の前期比が+0.8まで高まる可能性がある。前期が低迷した反動も含まれるが、ここ3期を均しても+0.6という高さになる。消費の復調と加速をうかがわせるのに十分な数字だ。 また、3月の家計調査は、相変わら
2020年度までに基礎的財政収支という財政健全化の指標を黒字に転換させる政府の目標の達成が遠のく中、自民党の特命委員会は、債務の残高に着目した別の目標を同時に掲げるべきだとする提言をまとめました。 この目標について、財政再建に関する自民党の特命委員会は、内閣府の試算では8兆3000億円程度の赤字が続くと見込まれるなど達成が遠のく中、別の目標を同時に掲げるべきだとする提言をまとめました。 提言しているのは、GDP=国内総生産に対して債務残高の割合がどれだけの大きさになるかを見る指標を掲げ、この割合を着実に引き下げていくという目標です。 自民党の特命委員会は、政府が6月にまとめる経済財政運営の基本となる、いわゆる「骨太の方針」に盛り込むよう求めていくことにしています。 ただ、この指標は、債務の残高が増えてもGDPが高い成長を続ければ改善するため、専門家などの間には、財政再建の取り組みを後退させ
Posted by Joseph Heath 先週のエントリでは,現代の大学界隈に見られる多種多様なふるまいをジャーナリストたちがひとしなみに「ポリティカル・コレクトネス」の一語でくくってしまいがちだとぼやきました。「古典的な」ポリティカル・コレクトネス-たとえば言葉狩り-の問題はすっかり廃れているのですが、それとは別の困った傾向が潮流として存在することを述べたのです。今週はその続きとして、私たち(物事を分類するのが大好きなのです)が「規範的な社会学(normative sociology)」と呼んでいる、やはり少々問題がある慣習について書こうと思います。 この「規範的な社会学」というコンセプトの由来は、ロバート・ノージックが「アナーキー・国家・ユートピア」の中で軽い調子で書いたジョークです。「規範的社会学、つまり『何が問題を引き起こしている”べき”なのか』、の学問がわれわれ全員を魅了する
東京大学新聞社は、新入生全員を対象に3月29・30日にアンケートを実施した。このアンケートは東大生対象の唯一の全数調査で、毎年入学の諸手続時に実施。受験経験や合格発表の様子、東大の諸制度に対する意識など、内容は多岐にわたる。今回は新入生3120人の94%に当たる2946人から回答を得た。今年の入学生が何を考え東大入学を志し、大学生活にどのような展望を抱いているのか。集計したアンケートの結果を基に分析した。(本文中の割合は小数点第1位を四捨五入した) 女子学生家賃支援 東大が本年度から導入した、実家が遠方の女子学生を対象とする家賃支援制度への評価を聞いたところ、「評価する」「どちらかといえば評価する」と答えたのは48%で、「どちらかといえば評価しない」「評価しない」の37%を上回った。評価理由は「女子学生比率向上につながると思うから」(45%)、「女子学生比率向上につながるかは分からないが、
失業率の低下が意味するもの 2月の完全失業率の3%割れについての筆者の考えは前回の当コラムで言及した通りである(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51387)。 巷の完全失業率改善の解釈は、アベノミクスに対する立場の違いによって大きく異なっている。アベノミクスを支持しない人たちは、「失業率の低下は、たまたま団塊の世代の引退という構造要因が重なったものであり、アベノミクスとは関係がない」といい、アベノミクスを支持する人たちは、「失業率の低下は、アベノミクスの成果そのものである」という論陣をはっている。 筆者は後者の立場だが、ただ、失業率の低下度合いは他の経済指標の動きと整合的ではない側面が強く、これをすべて「アベノミクスの成果」とすることには強い違和感を持っている。 しかも、筆者は、この両極端に分かれた解釈には、政治的な動きを感じる。特に、完全失業率の3
というEconospeakエントリ(原題は「Economics: Part of the Rot, Part of the Treatment, or Some of Each?」)でピーター・ドーマンが、経済学は金融危機にどの程度責任があるのか、という議論を取り上げている。そこで彼は、経済学を槍玉に挙げることは銀行という真犯人から目を逸らすことになる、というサイモン・レン−ルイスやクリス・ディロー(cf. ここ)の議論に反駁したUnlearning Economicsと、それに対するレンールイスの反論を紹介している。以下はレンールイスの反論のドーマンによるまとめ。 Simon Wren-Lewis responded by arguing that UE has it exactly backwards. Restricting himself to UE’s critique of m
正確には「2%台が定着」 3月31日に総務省から発表された2月の労働力調査はある意味、衝撃的であった。完全失業率が2.8%にまで低下したのだ。 この総務省発表の公表値(ヘッドライン)で完全失業率が3%を割り込んだのは、1995年1月の2.9%以来である。ただし、総務省の公表値は小数点第二位が四捨五入され、数字が丸められている。 正確に計算すると、2月の完全失業率は2.848%だったが、1月は2.954%で、実は1月も3%を割り込んでいた(昨年10月も同2.992%で3%を割り込んでいた)。従って、完全失業率が初めて3%割れしたというよりも、「2%台が定着しつつある」と言った方がよいかもしれない。 業種別にみても、低賃金で離職者も多かった医療・福祉関連も増加傾向にあり、状況が大きく変化しつつある。このところ、就業者増が顕著なのは、建設業、及び、卸小売業、教育・学習支援業といったところである。
シンカー:政府・日銀の共有目標である2%の物価上昇率が実現した場合、失業率が3.5%より高いと、家計の実質賃金は下落となってしまい、その減少が2%の物価の安定上昇を困難としてしまう。2%の物価目標が実現した時、失業率が2.5%まで低下し、実質賃金が1%上昇するのが安定した姿であろう。これらの間の因果関係の方向性は明確ではないため、財政・金融の景気刺激策を続け、失業率を2.5%まで低下させ、賃金上昇を加速させることが、2%の物価安定の目標の達成には必要であるとも言える。 日本の雇用者の賃金を合計した総賃金は、少子高齢化などで縮小トレンドであったが、アベノミクスにより拡大トレンドに変化している。 総賃金は、雇用者数や労働時間の増加でも拡大するため、賃金が本当に上昇しているのかはあいまいだ。 よって、総賃金を、雇用者数と労働時間で割り引いて、1労働時間単位の賃金の上昇率を見る必要がある。 アベノ
松尾匡のページ 17年4月3日 安倍政治に反対が多いのに内閣支持率が高いのはなぜか まる三ヶ月更新を空けました。いつものことかもしれませんが、筆舌に尽くしがたい忙しさでしたので。 原稿やら提出書類やらの、締め切りすぎた督促が入って、びっくり大慌てで必死に書いて、やっと出してホッとした途端、「あれどうなってますか」と締め切りすぎた督促がくる。こんなことを、笑ってしまうぐらい何回も繰り返していました。まあ、学会の報告やら座長やらシンポジストやらを引き受けたら、その時だけの仕事ではなくて、事前には報告論文を出さなければならないし、終わったら報告文やら論文やらを出さなければならないし、引き受けた時には計算に入れてなかったことがスケジュールに割り込んでくるので、いくつも重なってワヤクチャになるんだな。 個人ホームページなんか更新してたら、あちこちから「オレの所の仕事を後回しにして何やってんだ」と思わ
謀論について議論される時、「陰謀論」とは正確に何であるのかや、どのような精神的特徴が人を「陰謀論者」に陥らせてしまうのか、といった問題点が明確にされることは滅多にない。私は、自著『啓蒙思想2.0』で、陰謀論の説明を試みている。時宜に合うと思うので、この自著から一部を抜粋して再掲載しよう。 What makes someone a conspiracy theorist? Posted by Joseph Heath on December 5, 2016 | politics, United States 多くの人が、ドナルド・トランプに指摘している事の1つに、トランプが顕著なまでに陰謀論にハマりやすいように見える事実がある。陰謀論について議論される時、「陰謀論」とは正確に何であるのかや、どのような精神的特徴が人を「陰謀論者」に陥らせてしまうのか、といった問題点が明確にされることは滅多にな
日本における子供の貧困を人的資本投資、共同親権の側面から考察する 畠山勝太 比較教育行財政 / 国際教育開発 社会 #子どもの貧困#共同親権#人的資本投資#離婚 「日本の子供の6人に1人は貧困状態にある」という報道を目にした方も多いだろう。昨今、日本における子供の貧困をめぐる状況について、良くも悪くも注目が集まっている。筆者が仕事をしている途上国と異なり、日本では信号待ちの際やスーパーから出たところでストリートチルドレンに物乞いをされることもない。そのため、子供の貧困と言われてもピンとこない方が多いのではないだろうか? しかし、日本には厳然たる事実として貧困状態で暮らす子供たちが存在する。そして見落とされがちであるが、ストリートチルドレンが存在しないと言われる日本では、子供の貧困はその保護者達(若者)が貧困状態にあることを意味し、その保護者に対する支援が十分になされていないことを示唆してい
シンカー:この4年間のアベノミクスの成果は本当に円安だけなのだろうか?イメージではなくデータで確認する。まだデフレ完全脱却へは道半ばで、前政権が決定した消費税率引き上げの実施やグローバルな景気・マーケットの不安定化で足をすくわれる場面もあったが、地道に成果をあげながら前へ進んでいるように見える。 アベノミクス開始前の2012年末と比較 2016年10-12月期のGDP、日銀短観、そして法人企業統計が出て、この4年間のアベノミクスの成果が確認できる。 この4年間のアベノミクスの成果は本当に円安だけなのだろうか? 各指標をアベノミクス開始前の2012年末と比較する。 2016年10-12月期の実質GDPは2012年10-12月期と比較し5.3%拡大している。 実質民間内需も3.6%拡大している。 名目GDPは9.5%拡大し、これまでの縮小トレンドから転換させた。 GDPデフレーターは3.9%上
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