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ブックマーク / econ101.jp (1,004)

  • ポール・クルーグマン「マンデルとマンデル」(2021年4月12日)

    概要:ノーベル賞受賞者のロバート・マンデルが2021年4月4日に亡くなった。このコラムではポール・クルーグマンが、現代の国際マクロ経済学においてもまだその基礎であり続けているマンデルの初期の画期的モデルから、学者の間で物議をより醸したが影響はより小さかった後期の見解まで、経済思想と政策に関するマンデルの貢献の変遷を説明する。またクルーグマンは、ケインジアンの分析を開放経済に持ち込み、そして通貨圏を作る際の困難なトレードオフに光を当てたマンデルが、サプライサイド経済学とユーロの両方の生みの親とみなされるようになったことについても一つの説明を提供してくれている。 (訳者:原題は The Mundell Difference。何かにかけて初期と後期のマンデルの違いに触れたタイトルだと思いますが、その何かが何なのか分からないので上記のタイトルにしました。) ロバート・マンデルが1963年に発表した

    ポール・クルーグマン「マンデルとマンデル」(2021年4月12日)
  • アレックス・タバロック「今年のノーベル経済学賞はバナジー,デュフロ,クレマーが受賞」

    Alex Tabarrok “ The Nobel Prize in Economic Science Goes to Banerjee, Duflo, and Kremer” Marginal Revolution, October 14, 2019 今年のノーベル経済学賞は,開発経済学でのフィールド実験を理由にアビジット・バナジー,エステル・デュフロ,マイケル・クレマー(リンク先は各人のホームページ)に与えられた。デュフロはジョン・ベイツ・クラーク賞,マッカーサー「天才」賞を受賞し,今やノーベル経済学賞を受賞した史上2番目の女性で,これまでの受賞者の中で群を抜いて一番若い(これまで一番だったのはアロー [1]訳注;アローの受賞は51歳のとき,デュフロは46歳 )。デュフロとバナジーは夫婦なのでノーベル経済学賞を受賞した最初の夫婦ということになるが,ノーベル賞を受賞した最初の夫婦というわ

    アレックス・タバロック「今年のノーベル経済学賞はバナジー,デュフロ,クレマーが受賞」
  • タイラー・コーエン「都市の歩きやすさは経済的な階層移動を促進する?」(2019年10月6日)

    [Tyler Cowen, “Does walkability boost economic mobility?” Marginal Revolution, October 6, 2019] 貧しい家庭出身の子供たちが,大人になってから経済的な階層のはしごを上に登っていく機会がどれくらいあるのか――これを「世代をまたいだ経済的な上方への移動しやすさ」という (intergenerational upward economic mobility).この移動しやすさは,公正な社会に欠かせない特徴だ.アメリカでは,上方への移動しやすさが地域によって大きく異なっている.研究は,上方への移動しやすさが都市によって容易であったり困難であったりする理由を検討した.我々の研究は,住民の上方への社会的な移動しやすさの鍵となっている要因が都市の「歩きやすさ」(walkability) にあるとつきとめた.「

    タイラー・コーエン「都市の歩きやすさは経済的な階層移動を促進する?」(2019年10月6日)
  • スコット・サムナー「中国・アメリカ・日本の購買力平価について少し考える」(2019年9月23日)

    [Scott Sumner, “Some thoughts on PPP in China, the US, and Japan,” Money Illusion, September 23, 2019] 中国についてぼくが考え違いをしていたことに,為替レートがある.2010年前半に,ぼくはこう予想していた――「バラッサ・サミュエルソン効果〔散髪みたいな非貿易財よりも自動車みたいな貿易財の生産性が高い国は物価が高くなる効果〕により,ドルに対する人民元の実質為替レートは強く価値が上がるだろう.」 そうはならなかった.さらに,中国を訪れた後でも,その理由はいまひとつわからずにいる.それでもいちおう,中国に行ってみて気づいたことについて,いくつか書いてみよう. そうそう,ちょっと言い添えておこう.人民元の価値が実質で上昇するという予測は,中国〔のモノやサービス〕がかつてにくらべてもっと安くなくな

    スコット・サムナー「中国・アメリカ・日本の購買力平価について少し考える」(2019年9月23日)
  • タイラー・コーエン「エスカレーターを歩くのは非効率か」

    Tyler Cowen “Is it inefficient to walk up the escalator?” Marginal Revolution, September 29, 2019 ロンドンでのとある調査によれば,74.9%の人は歩くよりも立ち止まることを選び,このことは特にエスカレーターが長いほど顕著だ。この「右側は立ち止まる用,左側は歩く用」ルールのせいで,通勤者の約25%の人に50%のスペースを与えていることになる。 ここで,ラッシュアワーで「立ち止まる用」の側にエスカレーターに乗ろうとしている人が列をなしている場合を考えてみよう。これは直観に反するように見えるかもしれないが,通勤時間を減らそうとしてエスカレーターを歩く人たちは,実のところそれ以外の全員を遅れさせているのだ。 効率性を脇においても,エスカレータを歩くことが良くないかもしれない理由がもうひとつある。安全性

    タイラー・コーエン「エスカレーターを歩くのは非効率か」
  • アレックス・タバロック「モンティ・ホール問題の直観的にわかりやすいバージョン」(2019年9月19日)

    [Alex Tabarrok, “The Intuitive Monty Hall Problem,” Marginal Revolution, September 19, 2019] いろんなパズルは,ある角度から眺めたときには解きにくいのに視座を変えてみたらかんたんになることがよくある.Q&Aサイトの StackExchange に,モンティ・ホール問題と質は同じで正解を切り替えるかどうかの正しい選択が一目瞭然なものはなにか,という質問があがっている.ジョシュア・B・ミラーが,見事な回答を寄せている.おさらいしておくと,もともとのモンティ・ホール問題では,3つ並んだドアのうち1つにすてきな賞品が待っていて,回答者がどれか1つを選ぶと,司会者のモンティ・ホールが残り2つのうち1つを開けてハズレなのを見せる(開けるのは必ずハズレの方だ).これを見たあとで,ドアの選択を切り替えるか,それと

    アレックス・タバロック「モンティ・ホール問題の直観的にわかりやすいバージョン」(2019年9月19日)
  • ジョセフ・ヒース「移民についてのカナダ特殊論」(2017年7月1日)

    Canadian exceptionalism Posted by Joseph Heath on July 1, 2017 | Canada, immigration, multiculturalism 先日のことになりますが、イギリスの選挙ではジェレミー・コービンが躍進し、フランスではマクロンが現象を巻き起こすことになりました。この両出来事を受けて、右派ポピュリズムの熱狂は崩壊し始めている、といった楽観論が見られます。こういった楽観論が現れたのは、ドナルド・トランプ、彼の存在がある程度は理由になっているでしょう。トランプの選挙とそれに引き続いた彼の言動は、醜悪なアメリカ人の完全な自己標のようなものになっていました。このトランプの一連の言動は、他国の有権者に「トランプに権力を与えた熱狂を我々は克服しているのだ」と思わせ、これらの国におけるポピュリズムの趨勢に相当のダメージを与えたことは

    ジョセフ・ヒース「移民についてのカナダ特殊論」(2017年7月1日)
  • タイラー・コーエン「紛争の発生頻度は世界でどう変わってきたか」(2019年9月19日)

    [Tyler Cowen “Frequency of conflict initiation worldwide,” Marginal Revolution, September 19, 2019] 上の画像は,Bear F. Braumoeller が書いた興味深い新刊『現代における戦争の永続』(Only the Dead: The Persistence of War in the Modern Age) から. このは,世界がだんだん平和になってきているっていうピンカーの説を批判するのに大部分を割いている(ピンカーはヨーロッパ限定の,より楽観的なデータだけを示している).文から抜粋しよう: (…)紛争と戦争の勃発率は時により変化する.しかも,かなり大幅な変化だ.2回の世界大戦で2つの大きなジャンプがあるのを脇に置いても,1815年から冷戦終結までの期間に紛争の勃発率の中央値は4倍

    タイラー・コーエン「紛争の発生頻度は世界でどう変わってきたか」(2019年9月19日)
  • アレックス・タバロック「アクティブ・ラーニングは機能するけれど学生のお気には召さない」(2019年9月9日)

    [Alex Tabarrok, “Active Learning Works But Students Don’t Like It,” Marginal Revolution, September 9, 2019] 一貫して同じ学生と教員を対象にして注意深く実施された実験により,アクティブ・ラーニング〔能動的学習〕の授業の方が学生たちはより多く学ぶものの,このスタイルの授業を学生は嫌い,学ぶものがそれほど多くないと考えていることが明らかになった.べつにものすごく意外な結果ではない――アクティブ・ラーニングは難しくて,学生はまるで自分がバカなような思いをしてしまうものだ.それよりも,イスにふんぞり返ってご立派な講師が巧みな講義でなにもかも単純なように思わせてくれるのを楽しんでいる方がずっとラクだ. 教室での指導法としてアクティブ・ラーニングはよりすぐれていると認識されているものの,近年の大が

    アレックス・タバロック「アクティブ・ラーニングは機能するけれど学生のお気には召さない」(2019年9月9日)
  • ニック・ロウ「中銀に弾切れなし:農地の価格政策としての金融政策」(2019年8月23日)

    [Nick Rowe, “On not “running out of ammo”: Monetary Policy as Farmland Price Policy,” Worthwhile Canadian Initiative, August 23, 2019] 〔それまで金位制をとっていた〕とある国の中央銀行が農地の価格を決めて固定した場合を想像してみよう.中央銀行は,「これから1ヘクタールあたり1万ドルで無制限に農地を売買します」と宣言する.すると,「1ドル」は何オンスかの金(ゴールド)を意味しなくなる.1ドルが意味するのは,「1平方メートルの農地」を意味する. こうして中央銀行は農地を所有するようになり,農家に市場価格で農地を貸し出しはじめる.中央銀行はその貸し出し料金を使って紙とインク代や経済学者の給料を支払い,残りを中央銀行を所有する政府に与える. あるいは,中央銀行は農

    ニック・ロウ「中銀に弾切れなし:農地の価格政策としての金融政策」(2019年8月23日)
    woykiakes
    woykiakes 2019/10/19
    思考実験は思考実験にすぎないわけで、かえって現実性の乏しさが浮き彫りに…
  • タイラー・コーエン「(特に日本の)経済学者はイデオロギーバイアスがあって権威に弱い?」

    Tyler Cowen “Ideological bias and argument from authority among economists” Marginal Revolution, September 5, 2019 と,いうのがモフセン・ジャブダーニとハジュン・チャンの新論文のテーマだ。以下は論文要旨からの抜粋。 19か国の経済学者に対してオンラインでのランダム化対照実験を行うことで,我々は経済学者たちの見解に対するイデオロギーバイアスの効果を検証した。我々は参加者に対して様々なテーマに関する有力な経済学者の言説を評価するよう求めるとともに,それぞれの言説の主張者の名前は参加者に知らせずにランダムに割り振った。各言説について,参加者は主流派経済学者の名前,イデオロギーの異なる非主流派ないしは主流派色の薄い経済学者の名前,名前なしのいずれかを提示された。我々は,イデオロギーの異

    タイラー・コーエン「(特に日本の)経済学者はイデオロギーバイアスがあって権威に弱い?」
  • マリ=アンヌ・ルキエ「フランシュ=コンテの白い黄金:塩の一歴史」

    Marie-Anne Rouquier “L’or blanc de Franche-Comté : une histoire de sel” Bloc-notes-éco, Banque de France, le 11 avril 2019. フランス銀行のブログであるBloc-notes-écoは,フランス銀行のネットワークを活用して地域に関する分析にも手を広げることにしました。そこで,Bloc-notes-écoは折に触れて産業,地域の経済機構,地元産品に関する分析をお届けします。今回の記事はその第一弾となります。 人間にとって不可欠な塩は,貴重な物資だ。歴史の中で取引用のお金や給料の媒体として用いられ,塩は19世紀まで経済の中心的な産品だった。その製塩場のおかげで,フランシュ=コンテ地域圏は地下に眠る「白い黄金」を採掘しつつ1000年以上も特筆すべき繁栄を享受したのだ。 アルケス

    マリ=アンヌ・ルキエ「フランシュ=コンテの白い黄金:塩の一歴史」
  • アレックス・タバロック「女子の読解における比較優位は数学関連分野での男女格差をだいたい説明する」

    Alex Tabarrok “Girls’ comparative advantage in reading can largely explain the gender gap in math-related fields” Marginal Revolution, September 3, 2019 前に「男子の方が数学・科学に比較優位がある?(optical_frog氏による訳)」という記事で,男子は女子よりも読解がずっと下手だから数学に比較優位があることを示す証拠をご覧に入れた(男子が数学に大きな絶対優位をもつわけではないのだ)。みんなが自分の比較優位に特化するとすると,このことが女子よりも多くの男子が数学教育課程に入ることを容易に促してしまう。たとえ女子に男子と同じかそれ以上の才能があったとしてもだ。このことは以前書いたとおり。 さて,これで生徒たちにこう告げたらどうなるだろう―

    アレックス・タバロック「女子の読解における比較優位は数学関連分野での男女格差をだいたい説明する」
    woykiakes
    woykiakes 2019/10/19
    ブクマ多いな…比較優位がわかってる人の割合は…
  • クロディアナ・イストレフィ「金融政策決定者を選ぶ:Fedから学ぶ3つの教訓」

    Klodiana Istrefi “Choisir les décideurs de la politique monétaire : trois leçons de la Fed” Bloc-notes Eco, Banque de France, 16 mai 2018 今日においては,金融政策は一般的に委員会によって決定されている。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)の歴史は,経済に関するFed議長の信条及び金融政策に関する委員会の選好の重力中心が意思決定において重要であることを示している。 図1:連邦公開市場委員会におけるタカ派とハト派(1960-2015) 出典:Istrefi (2018) 注:タカ派とハト派の差は,委員会の各会合におけるタカ派の割合からハト派の割合を引いたもの(議長は除く)。図の背景色は議長の立ち位置を示し,赤はタカ派,青はハト派となっている。 今日では金融政

    クロディアナ・イストレフィ「金融政策決定者を選ぶ:Fedから学ぶ3つの教訓」
  • ダイアン・コイル「昔々,あるところに:物語と感染の経済学」(2019年8月29日)

    [Diane Coyle, “Once upon a time,” The Englightened Economist, August 29, 2019.] これほどいろんなところで物語への関心がぽこぽこ湧き出しているのはとても興味深い.王立協会は,人工知能における物語,ひいては科学における物語に,着目している.『投機バブル:根拠なき熱狂』の著者として(そしてノーベル賞受賞者として)名高いロバート・シラーが新しく出したの題名は,『物語りの経済学:お話はいかにして伝播し大きな経済的事象を駆動するのか』という.こののもとになっているのは,2年ほど前にシラーがやった講義だ.冒頭をこう書き出している:「書は,経済変化の新理論の初手を提示し,定番の経済的要因リストに新しい重要要素を導入する:その要素とは,口コミや報道メディアやソーシャルメディアをつうじて人から人へと伝播して人気を博する感染力

    ダイアン・コイル「昔々,あるところに:物語と感染の経済学」(2019年8月29日)
  • サイモン・レン=ルイス「新たなマクロ経済政策割り当て」(2019年8月28日)

    [Simon Wren-Lewis, “A New Macropolicy Assignment,” Mainly Macro, August 28, 2019] 次に景気後退が生じたときにこれを抑えられるかどうかについて中央銀行家たちが正しくも悲観的になるなか,中央銀行はインフレを目標値に維持しつつその責務を政治家に渡すときがきているのかもしれない. 先日,ジャクソン・ホールで開かれた中央銀行家たちの会議では,新たに景気後退が生じたときにこれに効果的に対処するツールがないことが全体的に受け入れられたようだ.その理由は,ここ〔翻訳〕でいくらか論じておいた.いちばんおなじみの理由は名目金利の下限だが,Anna Stansbury と Larry Summers はさらにこう論じている――下限にたどりつく前であっても,非常に低くなっているときに名目金利は効果的な安定化ツールではないかもしれない

    サイモン・レン=ルイス「新たなマクロ経済政策割り当て」(2019年8月28日)
  • ジョセフ・ヒース「一分でわかる保守派の反理性主義の歴史」(2015年4月)

    Joseph Heath, “A one-minute history of conservative anti-rationalism” (In Due Course, April, 2015) 〔訳注:稿では、理性および理由という意味を強調するために原文における「rationalism」という言葉を、邦訳『 啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために』栗原百代訳, NTT出版, 2014年で使われている「合理主義」ではなく、「理性主義」と訳出しています。〕 左派の反理性主義はこれまでずっと害悪を撒き散らしてきたが、同時に左派が反理性主義でいるのは自分自身を破滅に至らしめる行為であると指摘しておきたい。というのも、左派というのはどんな形であれ常に進歩というアイディアにコミットしており、進歩とは理性の働きに依拠するものだからだ。我々の社会の中のおける社会的・経済的問題のほとんどは

    ジョセフ・ヒース「一分でわかる保守派の反理性主義の歴史」(2015年4月)
  • タイラー・コーエン「金融政策は力を失ってしまった?」(2019年8月29日)

    [Tyler Cowen, “Has monetary policy lost its power?” Marginal Revolution, August 29, 2019] 「それはない」というのが,ブルームバーグのコラムに書いたぼくの答えだ.ちょっとだけ冒頭を抜粋: いまの状況でなにより目を見張る事実はなにかと言えば,世界の主要な中央銀行のどれひとつとして物価インフレ率をもっと高くしたいと宣言していない〔インフレ目標の引き上げを宣言していない〕という点だ.欧州中央銀行や日銀やアメリカ連銀の首脳から,3パーセントインフレ率〔目標〕を支持するなんて発言を聞いた? だから,中央銀行が大したことなさそうに見えるのも当然なんだよ. ようするに,中央銀行は経済の刺激に付け足し程度の貢献をしたがっているのであって,物価上昇率をもっと高くすることで政治的な怒りを呼び込みたくはないわけだ.中央銀行が

    タイラー・コーエン「金融政策は力を失ってしまった?」(2019年8月29日)
  • サイモン・レン=ルイス「イギリスで景気後退のさなかに財政緊縮をやった事例:1981年と2010年を比べてみると」(2019年8月3日)

    [Simon Wren-Lewis, “Fiscal tightening in UK recessions: 1981 and 2010 compared,” Mainly Macro, August 3, 2019] 健康で平穏な生活を守るために,Twitter でのやりとりを控えることにしている.ただ,先日,Andrew Dentance とのやりとりを例外にした.論点は,1981年の財政引き締めが2010年の緊縮とどれくらい同等と言えるのか,という点だ.明らかに,これにはあれこれと話を整理するためにちょっと文章を書くしかない.このあと掲載するいくつかのグラフで,1981年/82年(青)と2010年/11年(赤)がGDP に占める割合でみたさまざまな財政の尺度でどう比較できるか見ていこう.(厳密に言うと,それぞれのグラフが取り上げている財政の尺度が GDP に占める割合を X とする

    サイモン・レン=ルイス「イギリスで景気後退のさなかに財政緊縮をやった事例:1981年と2010年を比べてみると」(2019年8月3日)
  • ノア・スミス「貧困と悪癖についてケヴィン・ウィリアムソンが間違っているところ」(2019年8月3日)

    [Noah Smith “Why Kevin Williamson is wrong about poverty and bad behavior,” Noahpinion, August 3, 2019] 先日,ブルームバーグのコラムでこう論じた.先進国において,「悪癖」は――ドラッグ使用・暴力・片親の育児・怠け癖などは――貧困の主な原因ではない.証拠に挙げた国は日だ.日は,薬物使用も暴力も片親の育児も怠け癖も低い率にとどまっているのに,貧困率がアメリカにほぼ並んでいて,豊かなヨーロッパ諸国よりも大幅に上回っている.日にそうした悪癖はとても少ないのに先進国にしては貧困率が高いのだから,悪癖が総体として貧困の主な原因になっているわけがない. 『ナショナル・レビュー』のケヴィン・ウィリアムソンが,このコラムに異論をはさんできた.キツい調子の反駁文で,ウィリアムソンはぼくのコラムをこう言

    ノア・スミス「貧困と悪癖についてケヴィン・ウィリアムソンが間違っているところ」(2019年8月3日)