2012年7月31日 西崎健司*1 関根敏隆*2 上野陽一*3 全文掲載は、英語のみとなっております。 全文 [PDF 329KB] 要旨 わが国では、1990年代後半以降、緩やかながらも長期間にわたって物価が下落傾向を続けた。標準的なフィリップス曲線による推計結果から、これは、予想インフレ率の低下、負の需給ギャップ、その他の要因(これには輸入物価の低下・為替レートの円高などが含まれる)により説明されることが示唆された。こうした物価変動の要因は、日本経済のさまざまな構造的な特徴を反映している。本稿では、わが国における物価変動を説明しうる要因、すなわち、ゼロ金利制約、民間が形成する物価観、日本銀行による情報発信、潜在成長率(自然利子率)の低下にともなう期待成長率の低下、リスク回避的な銀行行動、規制緩和、新興国の台頭、について検討を加えた。 *1 日本銀行調査統計局(現金融市場局) E-mai