AIは人間の競争相手ではない AIと人の関係はもっと“ハピネス”に満ちたものになる(1) 矢野和男(日立製作所研究グループ技師長)×飯田泰之(エコノミスト) 救世主か、それとも人類の敵か――ビッグデータを解析し未知の可能性を描くだけでなく、それにより自らの解析の方法そのものまで深化させていくAI(人工知能)の発達がめざましい。しかしそのスピードに、人間側の認識はそれに追いついているだろうか。人とAIの関係をもっと幸福なものにするために、必要な思考法とは何か。 ビッグデータは仮説の《外》にある可能性を引き出す 飯田:ビッグデータに関心のある経済学者は多いのですが、経済学者にしろ、あるいは一般の方はなおさら「サンプル数がものすごく増えた」と理解しがちです。今までの小さなサンプルでの統計と、これからのビッグデータ解析とは質的になにが違うのでしょうか? 矢野:ビッグデータだけではなく、さらにAIが