《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》 おなじみ、北京大学・馬場公彦氏によるレポート。今回は、中国動漫産業の歴史や動向について。「動漫」は動画と漫画の複成語で、日本文化の影響を強く受けているそうです。前後編でお届けします。 4億人市場となった中国動漫産業 中国では消費活動においてもコミュニケーションの現場においても、可愛らしいアニメや漫画のキャラのアイコンが生活に欠かせないスパイスとなって効いている。商品広告はもちろんのこと、ビジュアル系各種メディアにおいて、テレビや出版のみならず、携帯アプリやSNSでのステッカー(スタンプ)などにおいて、生活空間が漫画やアニメに溢れている。その風景は日本と同様で、日本の影響を強く受けているが、浸透度ははるかに日本を上回っているように感じる。 今回はこの中国大陸を覆い尽くす動漫ドンマン(動画と漫画の複成語)について、その市場の実態・歴史・
《この記事は約 9 分で読めます(1分で600字計算)》 北京大学・馬場公彦氏による中国の出版事情レポート、今回は中国における日本文学の翻訳事情について。前後編でお届けします。 日本と同じく、中国も翻訳文学大国 日本文学の翻訳事情 先の中国レポート「巨大な児童書市場での日本のプレゼンス」で、書籍市場の売上3割を占める児童書において、外国のコンテンツが主流を占め、イギリスに次いで日本とアメリカの作品が多く翻訳されていることについて触れた。2019年の売上実績をみると、主要なジャンルは売上額順に児童書―学参書(教材・副読本を含む)―社会科学に次いで文学関連で、これらを合算すると80%を超える市場規模に達する。そのうち文学は昨年比1.74%減とはいえ、全売上額の10.19%である。 さらに文学の内訳をみると、小説・散文が売上額の大半を占めており、小説の細目では中国現代文学(ランキングのトップは余
《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》 中国における日本文学の翻訳事情について、北京大学・馬場公彦氏によるレポート後編をお届けします。前編はこちら。 日本側出超、中国側入超の不均衡 日本文学の翻訳上の諸課題 中国図書市場での日本文学の人気が過熱気味に高まっていることは喜ばしい。だがそれゆえの悩ましい問題も顕在化している。田雁さんの研究書と尹朝霞さんの論文の指摘をまとめよう。 第1に重複出版の増加。とりわけ版権許諾料の発生しないPD作家の作品は、各社がこぞって出版している。尹さんの挙げた例によると、芥川の『羅生門』は訳者と出版社を換えて21点の版本が出ている。話題沸騰中の太宰『人間失格』は22点出ている。翻訳者同士が力量を競いあうことで訳文の質が向上し、読者が訳文の個性を吟味するという愉しみもあろうが、ここまで重複が激しくなると、あとは出版社同士が価格・装丁・付録などでの差
《この記事は約 6 分で読めます(1分で600字計算)》 白人警官が黒人男性を殺害する事件が起き、ハッシュタグ #Blacklivesmatter とともに抗議活動が始まった。これを受け、アメリカの出版はどう変わろうとしているのだろうか? 「人種差別はいけない」と気づいたアメリカの出版社が今取りくんでいること 5月末にミネソタ州ミネアポリスで起きた白人警官によるジョージ・フロイド殺害事件をきっかけに、全米でBlack Lives Matter(以下、BLM)運動が続いている。デモ隊と警官の衝突や、一部の扇動者による器物損害や略奪など、派手な映像ばかりが日本で報道されがちだが、その裏で、各地で警察組織の抜本的な改革や、私企業による運動の主旨への賛同表明など、黒人差別の長い歴史が確実に変わりそうな予兆がある。 同時に、アメリカでのCOVID-19による感染者数・死者数は、世界でも最悪の数字を日
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